センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

14話 話が違う。


 14話 話が違う。

「――アスラ・エグゾギア‐システム、起動!!」

 宣言すると、
 ゼンの全てが、『殺戮の神』に包まれた。
 この世の全てを殺さんとしている、狂気的な威容。

 ※ 以降、エグゾギアを使っているさいのゼンのことは、
   『阿修羅ゼン』もしくはそのまま『ゼン』のどちらかで表記していきます。


 フッキと融合した完全状態ではなく、
 素のアスラ・エグゾギア。

 ――阿修羅ゼンは、
 禍々しい剣を召喚して、

「まずはアイドリングだ……準備運動の『軽い慣らし』で、あっさり潰れてくれるなよ」

 言って、下半身に力を込めた。
 淀(よど)みなくエネルギーが伝わって、軽やかに駆動する。

 豪速の瞬間移動。
 次元を駆け抜け、
 その流れの中で、

「一閃!!」

 スッと、まっすぐに、剣を横に薙いだ。
 グリムアーツ一閃。
 それは、現状のゼンが、唯一、自信をもって放てる汎用性の高い一撃!

 愚直にアホほど振ってきた剣技!
 信じられない速度の『飛ぶ斬撃』!
 空間を切り裂く、凶悪な一手!!

 ――それを、


「ぐぬっ!!」


 P型センエース2号は、その手に召喚したオーラソードで受け止めた。
 ギィィィンと、オーラのはじけ合う音がして、

「うらぁあ!」

 最後は、P型センエース2号に裂かれる形で、飛ぶ斬撃は消失した。

 ビリビリと痺れている両腕を一瞥してから、
 P型センエース2号は、心の中でボソっと、

(……な、なんだよ……全然悪くないじゃないか……速度も火力も……)

 困惑した顔で、続けて、

(話が違う……この時点のゼンは、もっと明確なクソザコじゃなかったのか……)

 ツーっと、冷や汗が頬を伝って、

(ま、マズいな……これ、まさかの互角じゃないか? いや、もしかしたら、俺の方が……わずかに弱い……?)

 純粋な焦りが生じた。
 思考が乱れる。

 そんなP型センエース2号の感情など考慮せず、
 阿修羅ゼンは、ヤンチャな顔で、

「いいねぇ! じゃあ、次は、少しギアを上げていくぞ」

 そう言ってから、グっと腰を落とし、
 両目を閉じて、
 ――『コンマ2秒間』、丹田に集中し、エネルギーを溜めてから、

「波動一閃!!」

 無邪気に放たれた一撃は、
 先ほどの一閃よりも、鋭さが数段階ほど上だった。

「うっ、うぉおおおお!!」

 その鋭さに対し、余裕をもった対応はできなかった。
 P型センエース2号は、冷や汗につつまれながら、
 どうにかこうにか、全身をひねり、右横へと飛んだ。
 ギリギリの緊急回避。
 正式な紙一重。


(ゼンの波動一閃の溜め時間は、五秒だったはず……どうして……いや、どうしてもクソも……平時の戦闘でも使えるよう、ブラッシュアップしただけの話……)


 五秒の溜め時間など、まともなタイマンではなかなか稼げない。
 なら、ビルドを組み直して、使えるように変更する。
 当たり前の話。

 P型センエース2号は、
 内心の焦りを悟られないよう、
 平常を装いながら、

「……思ったよりも強いな、ゼン。予想していた値を大幅に超えている」

「……『予想していた値』って……絶対に初対面なのに、なんで、そんなパワーワードが出てくるんだよ……あんた、マジで、何なの?」

「今の俺はP型センエース2号。それ以上でも、それ以下でもない」

「……なんで、そのフワっとした一言で自己紹介が成立すると思えるのか、その精神状態が一番の謎だけど……まあいいか」

 小さな溜息を挟んでから、

「さてさて……いい感じに魂も温まってきたことだし……そろそろ、本格的に殺し合ってみようか」


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