センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

8話 俺はP型センエース2号。


 8話 俺はP型センエース2号。

「……絶望を前にして……知人の死を前にして……しかし、一向に『開く気配』すらなし……だめだな……本当に貴様は使い物にならない。センエースの前に立つ資格がない」

「何言ってんだよ、てめぇ! さっきから、ほんと、ナニひとつワケわかんねぇんだよ! てめぇ、何がしてぇんだよ!!」

 ピーツの問いに対し、
 ボーレは、





「運命は絶対か否か……それが知りたい」





 真摯にそう答えた。
 だが、当然、

「抽象的な事を言っていればカッコつくとでも思ってんのか! このイカれ厨二野郎!」

 ピーツには届かない。
 ピーツに理解できる領域ではない。

 ボーレは、少しだけ目を閉じて、
 ほんのわずかに、穏やかな気持ちになって、

「もういいから……お前も、コスモゾーンへ還れ」

 そうつぶやくと、
 ボーレは、手刀を横に薙いで、ピーツの頭を吹き飛ばした。

 血が噴き出して、ほんの少し軽くなって
 そして、グラリと体から力が抜けた。
 ピシャリと音をたてて、
 血だまりの中、ピーツだったタンパク質は、中身を亡くした屍となって横たわる。

 その屍の胸に、
 ボーレは、手をあてて、

「んっ」

 グっと力を込めた。
 すると、ピーツだった屍がパァンと光の粒となって弾け、
 携帯ドラゴンと同じく、
 ボーレの中へと注ぎ込まれていく。

 光の拡散は一瞬で、すぐさま収束し、
 後には、『ピーツを模した命の影』だけが、そこには在った。

「……ふぅ」

 と、ボーレは天上を仰ぎながら、
 少しだけ息を吐いてから、
 気合いをいれなおし、


「さて……それでは、そろそろ本格的に……冒険者試験の二次試験をはじめようか」


 そうつぶやいてから、
 ボーレは、世界に対して名乗りをあげる。

「――『俺』はP型センエース2号。最強の携帯ドラゴンを持つ、MDワールドの絶対的ナンバーワン。……『この上なく尊き神の王、舞い散る閃光センエースを殺す者』だ」



 ★


 ソルが暴れていたころ、
 『ゼン』たち一行は、カジノにいて、

「……おいおい、なんだ、あいつ……強すぎるぞ……」

 裏カジノで行われているトランスフォーム・バトルの主『パガロ』との闘いで、
 勇者ハルスは、ボコボコにされた。

 ハルスは、最高ランクであるSSSの携帯ドラゴンを使ったが、
 『Bランク』の携帯ドラゴンを駆るパガロに、
 手も足もでなかった。

 SSSランクの携帯ドラゴンと比べれば、Bランクの携帯ドラゴンなどハナクソみたいなものだが、しかし、そんな圧倒的スペック差などものともせず、
 パガロは、ハルスを一蹴してみせた。

「本当なら、『D-』という『神の縛り』を己に課したいところなのだが……私は、まだその領域に達していない……私は、まだ旅の途中……いつか、また、『この上なく尊き神』の光に触れられる日を夢見ながら、一歩一歩を積み重ねるだけの蕾」

 終始、超然とした態度で、
 常に、どこか、ここではない遠くを見ているパガロ。

 まるで、心に大いなる光でも宿しているかのよう。
 その姿は、まさしく、敬虔な神のしもべ。

 その様を目の当たりにしたハルスは、
 吐き気を催した顔で、

「こいつ宗教家かよ……クソが、クソが、くそが……お、俺は……こんな頭おかしい妄想バカなんぞに負けたのか……なさけないとかいう次元じゃねぇ。……全力で死にてぇ」


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