センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
8話 俺はP型センエース2号。
8話 俺はP型センエース2号。
「……絶望を前にして……知人の死を前にして……しかし、一向に『開く気配』すらなし……だめだな……本当に貴様は使い物にならない。センエースの前に立つ資格がない」
「何言ってんだよ、てめぇ! さっきから、ほんと、ナニひとつワケわかんねぇんだよ! てめぇ、何がしてぇんだよ!!」
ピーツの問いに対し、
ボーレは、
「運命は絶対か否か……それが知りたい」
真摯にそう答えた。
だが、当然、
「抽象的な事を言っていればカッコつくとでも思ってんのか! このイカれ厨二野郎!」
ピーツには届かない。
ピーツに理解できる領域ではない。
ボーレは、少しだけ目を閉じて、
ほんのわずかに、穏やかな気持ちになって、
「もういいから……お前も、コスモゾーンへ還れ」
そうつぶやくと、
ボーレは、手刀を横に薙いで、ピーツの頭を吹き飛ばした。
血が噴き出して、ほんの少し軽くなって
そして、グラリと体から力が抜けた。
ピシャリと音をたてて、
血だまりの中、ピーツだったタンパク質は、中身を亡くした屍となって横たわる。
その屍の胸に、
ボーレは、手をあてて、
「んっ」
グっと力を込めた。
すると、ピーツだった屍がパァンと光の粒となって弾け、
携帯ドラゴンと同じく、
ボーレの中へと注ぎ込まれていく。
光の拡散は一瞬で、すぐさま収束し、
後には、『ピーツを模した命の影』だけが、そこには在った。
「……ふぅ」
と、ボーレは天上を仰ぎながら、
少しだけ息を吐いてから、
気合いをいれなおし、
「さて……それでは、そろそろ本格的に……冒険者試験の二次試験をはじめようか」
そうつぶやいてから、
ボーレは、世界に対して名乗りをあげる。
「――『俺』はP型センエース2号。最強の携帯ドラゴンを持つ、MDワールドの絶対的ナンバーワン。……『この上なく尊き神の王、舞い散る閃光センエースを殺す者』だ」
★
ソルが暴れていたころ、
『ゼン』たち一行は、カジノにいて、
「……おいおい、なんだ、あいつ……強すぎるぞ……」
裏カジノで行われているトランスフォーム・バトルの主『パガロ』との闘いで、
勇者ハルスは、ボコボコにされた。
ハルスは、最高ランクであるSSSの携帯ドラゴンを使ったが、
『Bランク』の携帯ドラゴンを駆るパガロに、
手も足もでなかった。
SSSランクの携帯ドラゴンと比べれば、Bランクの携帯ドラゴンなどハナクソみたいなものだが、しかし、そんな圧倒的スペック差などものともせず、
パガロは、ハルスを一蹴してみせた。
「本当なら、『D-』という『神の縛り』を己に課したいところなのだが……私は、まだその領域に達していない……私は、まだ旅の途中……いつか、また、『この上なく尊き神』の光に触れられる日を夢見ながら、一歩一歩を積み重ねるだけの蕾」
終始、超然とした態度で、
常に、どこか、ここではない遠くを見ているパガロ。
まるで、心に大いなる光でも宿しているかのよう。
その姿は、まさしく、敬虔な神のしもべ。
その様を目の当たりにしたハルスは、
吐き気を催した顔で、
「こいつ宗教家かよ……クソが、クソが、くそが……お、俺は……こんな頭おかしい妄想バカなんぞに負けたのか……なさけないとかいう次元じゃねぇ。……全力で死にてぇ」
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