センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

61話 ここは、まだ坂の途中……


 61話 ここは、まだ坂の途中……


 究極超神化7にたどりついたソンキーは、
 あまりにも強大だった。


 何がなんだか分からない。
 ――そういう、遠い次元。

 陰すら見えない、
 遠い、遠い、遠い、そんなドコか。


「――『本物の真理』は、まだ、影も見えない」

 ソンキーは、

「ここは、まだ坂の途中。『辿り着いた』という感情の着地は、ただの錯覚……」

 ぽつりと、

「俺は、まだ、脆弱なカケラ」

 そうつぶやきながら、
 厳かに、歩を進め、

「それでも、きっと、」

 バグの目の前までくると、

「俺の歴史に、貴様の死を飾るくらいは出来るだろう」

 ヒュッっと、小さく、口笛を吹いた。
 すると、音が線になって、奇怪な粒子の陣を張る。


「――【ギルティ/チェイン:ソードスコール・ノヴァ】――」


 またたくまに、メタリックな黒と銀の円が広範囲に広がって、
 精緻なオーラソードが、闘神の前に整列し、深く平伏する。
 厳かな金紫の鎖に縛られた剣たちは、


「穢れを背負い……陰(いん)も影(かげ)も飲み込んで……美しく……ただ、美しく」


 命じられて、
 歓喜の声をあげた。
 ギリギリと音をたてて、時空に傷跡をつけていく。

 目に見えて意気込み、高純度のオーラを捻出していく剣たち。

 剣たちは思う。
 神の前で踊る許可を得た。
 なんという行幸。

 キンッッと、硬質な音がして、
 剣は翼になる。

 神の両手に魔力が集まっていく。
 飛翔させた斬撃に、超電導の回転とレディエーションを込めた。

 自由な遊戯。
 完全なるランダム。
 超新星の営業時間。
 プロトコルの永久保存。

 言葉がドロドロに熔解して、
 点と線が自由になって、
 選択肢を殺していく。



「ぎぃっっ!! ぎがぁああああああああああっっ!! うぐぃいいい! ぁああああ!」



 艶(あで)やかに貫かれ、
 バグの体が、裂けて燃えた。

「ぎぃいい! がぁ! 熱い! 寒い!! 苦しい! 私の全部が壊れる! もうやめろ! やめてくれ!!」

 金の炎は雅(みやび)な龍となって、芸術的に荒々しくバグへと食らいつく、

「ぎぃいいいい! ひぃっ、はぁっ……ぅぎぃ……うぐぅ……」

 『損傷の回復』に着手するよりも早く、
 次の斬撃が、バグの体をさばいていた。
 認識が追い付かない。
 痛みを感じる余裕すらなかった。

「――まっ、まって――」

 必死に距離を取ろうとするが、
 許されるはずがない。
 バグのルートはすでに決定されている。

「――ほんと、ちょっと、まっ――」

 神の前で、
 無様はさらせない。

「むり――勝て――」

 バグを卸(おろ)していく刃の雨。
 無慈悲な一手が連鎖する。
 美しい絵画だった。
 きわめて厳かな、神の一手。


「むりむりむりむりむりぃい!! もう、いやだ! いたい怖い、いやだ、ホントむりぃいい!」


 バグが漏らす無様な悲鳴を、無慈悲に包み込み続ける剣の嵐。
 所詮は、『舞い散る閃光』の外殻を模倣しただけのハンパな贋作。
 センエースという最果てを正しく学習できる狂気など存在しない。

「ああぁ! いぃいい! 一分だ!! いや、10秒でいい! 私の全部を捧げる! 最後の10秒以外はすべて持っていっていい! だから! 自殺する余力を! この恐怖から逃れる力を!!」



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