センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

53話 まだ足りない。


 53話 まだ足りない。

「ゴミが……っ。見るも無残なカスの分際で、この俺に恥をかかせやがって……っ」

 静謐(せいひつ)なブチ切れに身を任せ、
 豪速にブーストをかける。

「膨れ上がっただけの虫ケラが……はしゃいでんじゃねぇ」


 常に限界を超えていくスタイル。
 背後に回るフェイントで揺さぶりながら、
 ソンキーは、バグの死角に潜り込み、

「女二人の魂魄は……まあ、あとで回収して復活させればいいか。多少、後遺症は残るだろうが、知ったことか。手前らの『弱さ』が原因だ。受け入れろ」

 ボソっとそう言いながら、
 チラっと、『先ほど、バグから引っぺがしたウラスケ(朦朧とした状態で倒れこんでいる)』に視線を送り、

「お前は後でゴチャゴチャ言うだろうが……この代償の責任は、守りきれなかったお前にある。文句は受け付けない」

 そう言葉を述べてから、
 スゥと軽やかに息を吸い、
 そして、

「――異次元砲――」

 莫大な魔力とオーラを込めた照射を叩きこむ。
 コスモゾーンの法則がなければ、
 全ての命を蒸発させていただろう、ヤンチャが過ぎる一撃。


「グガァアアアア!!」


 強大なエネルギーの照射を受けて、
 バグは、苦悶の声をあげたが、
 それは、ほんの一瞬の話で、

「ギィイイ!! ガァアアアア!!」


「……っ……ちっ。今の異次元砲で死なねぇのかよ。クソ以下のカスでも、存在値だけはハンパじゃないってか……鬱陶しい」


「ギギギ! ガガ!」

 すぐさま、損傷部位を蘇生させると同時、
 バグは、損傷状況から、ソンキーの居場所を割りだし、
 そのまま、

「ズァアアアアアアッッッ!!」

 精緻な『魔力の捻出』などではない、
 ただのゲロビ――オーラの咆哮を放った。

 無粋かつワガママに暴走する凶暴なエネルギーをその身に受けて、
 ソンキーは、


「はっ……チンケだな。こんなカスみたいなゲロビが、俺を溶かしてたまるかよ」


 バグのオーラを無慈悲に凌辱し、
 強めの気合一つで、容易かつ完全に打ち消してみせた。

 その様を見たバグは、

「……マだ足りないカ……」

 かすれた声で、

「……『タナカウラスケの助力』という『純度の高いキッカケ』を経て……盛大に壊れ堕ちながら……まだ……ぐッ」

 ボソボソと、

「……コの差では……絶死を積んでも……おそらく……まだ足りヌ……」

 グニュグニュと、形を変えていき、

「ナらば……」

 整った人型になると、
 ナナノとアスカの声を足したような、スっと通る声で、

「賭すしかないか……」

 そうつぶやいてから、天に向かって、

「世界中の同族よ! 私に『限気(げんき)』を分けてくれ!」

 そう叫んだ。

「私は示した! 私こそが、最も優秀な個体! 他の誰が、この『究極なる闘神』と対峙できるだろうか! 私だけだ! 私だけが、『ここから先』の『領域』に辿り着く事ができる!」

 その演説は、
 すぐに佳境へと達し、

「私を選べ! 迷う理由がどこにある! 私と共に、究極の神を超えろ!!」

 その叫び・願い・命令は、
 世界に響き渡ると同時、





「――それでいい!!」





 『彼女(バグに性別はないが、一応)』の思うままに、呼応した。
 認めざるをえない功績。

 届かなかったとはいえ、
 最強神ソンキー・ウルギ・アースと対峙してみせた『彼女』は、
 間違いなく、最高位の個体。


「きた! きたぞ! ははははははは!! 私が! 真に完成していく!」


 どんどん存在値を増していくバグを、
 ソンキーは、腕を組んで見ていた。

「面白いな。『ゴミみたいなカケラ』を回収しているだけだというのに、雪だるま式に存在値が膨れ上がっている……どういう理屈だ? 聞いてやるから、一説ぶってみろ、虫ケラ」


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