センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
38話 どちらが相手の支配者かを問う闘い。
38話 どちらが相手の支配者かを問う闘い。
劇的な進化を経たアスカは、
「さて……」
そこで、絶賛マヒっているウラスケに視線を向けて、
「それじゃあ、交渉をはじめましょうか」
言いながら、ウラスケの目と鼻の先まで移動すると、
ウラスケの頬をなでながら、
「あなたに対する私の……私達の要求はただ一つ。正式に、私達の騎士になって」
喋ることもできずに固まっているウラスケに、アスカは続けて、
「もちろん、タダでとは言わないわ。私達の要求をのんでくれるのであれば、私達の全てをあげる。肉体も魂魄も……全部全部、あなたの好きにしていい」
妖艶に微笑むアスカは、
そこで、指をパチンと鳴らし、
「……返事は?」
強烈な麻痺から解放されたウラスケは、いまだ残る精神的な違和感の余波を確認しつつ、
アスカを睨みつけならが、
即座に、
「――はっ、はっ、はっ、はっ、はっ」
自分の底、奥深くへと潜っていく。
その様子を見て、アスカは、表情をゆがめ、
「どういうつもり?」
「――学習完了。耐性調節終了」
「……耐性の調節なんて、自力で出来るわけ――」
「メルクリウスのシステムを一部改造して、MD粒子回路の閾値を調節した……もっと言えば、『対お前用』に激烈なアップグレードをさせてもろた」
「……」
「ナナノと融合したことで、なんや、妙に凶悪な性能になったっぽいけど……パワーアップする権利を持っとるんは、そっちだけやない。――あんまり、このぼくをナメんなよ」
そこで、ウラスケは、グっと唾をのんで、
「……こんなこと、ほんまは言いたく無いけど」
そう前を置いてから、グワっと、視線を鋭くして、
「………………これでも、ぼくは、正真正銘、タナカ家の人間や。カス相手にあっさりと膝を屈したりはせん!」
そこで、アスカは、貫くような目でウラスケを見つめる。
「なるほど……やはり、あなたは素晴らしい。是が非でも、私の一部になってもらう」
「お前なんかに奪われるほど、ぼくはヤワやない。お前ら二匹のバケモノをブチ殺し、繭村と高瀬を取り戻す」
宣言し、
ウラスケは飛翔した。
オーラを練り上げながら、
「ボコボコにして、ひっぺがす!! それが無理なら、他の方法を考える! なんとしてでも、二人を救い出す! なんべんでも言うぞ! ぼくをナメんな、イカれたバケモノども!!」
高速の襲撃。
無数のジオメトリを展開しつつ、
バフとデバフを拡散させながら、
拳の雨で、アスカを討とうとする。
が、アスカは、その全てをヒラヒラと軽やかに避けて、
「どちらが相手の支配者か……それを、ぶつかりあって探り合う。けっして、悪くはない提案ね。いいわ、受け入れる」
言ってから、アスカは、
ウラスケの腹部に、
「ぐぶっ!」
ヒザを叩き込んだ。
くの字に曲がるウラスケの後頭部に、
続けて、ヒジをブチこむ。
「がっはぁ!!」
衝撃で首が折れたかと思った。
しかし、丈夫なドラゴンスーツのおかげで、なんとか死は免れる。
アスカは、そんなウラスケの頭部をつかみ、
「たった二発……けど、もう充分でしょう? あなたは、力の差が分からないほど愚かじゃない。無意味に殴り合いを続ける必要はないわ」
淡々と、
「私が、あなたの支配者。これでいいわね?」
はるか高みから、
まるで神のように、
優しく手を差し伸べてくるアスカ。
そんな彼女をにらみつけながら、ウラスケは、
(マズいな……ここまで強いとは……想像しとったよりも、はるかに上……昨日の連中の比やない……今のぼくでは、どうあがいても勝てん……)
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