センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

38話 どちらが相手の支配者かを問う闘い。


 38話 どちらが相手の支配者かを問う闘い。

 劇的な進化を経たアスカは、

「さて……」

 そこで、絶賛マヒっているウラスケに視線を向けて、

「それじゃあ、交渉をはじめましょうか」

 言いながら、ウラスケの目と鼻の先まで移動すると、
 ウラスケの頬をなでながら、

「あなたに対する私の……私達の要求はただ一つ。正式に、私達の騎士になって」

 喋ることもできずに固まっているウラスケに、アスカは続けて、

「もちろん、タダでとは言わないわ。私達の要求をのんでくれるのであれば、私達の全てをあげる。肉体も魂魄も……全部全部、あなたの好きにしていい」

 妖艶に微笑むアスカは、
 そこで、指をパチンと鳴らし、

「……返事は?」

 強烈な麻痺から解放されたウラスケは、いまだ残る精神的な違和感の余波を確認しつつ、
 アスカを睨みつけならが、
 即座に、



「――はっ、はっ、はっ、はっ、はっ」



 自分の底、奥深くへと潜っていく。

 その様子を見て、アスカは、表情をゆがめ、

「どういうつもり?」

「――学習完了。耐性調節終了」

「……耐性の調節なんて、自力で出来るわけ――」

「メルクリウスのシステムを一部改造して、MD粒子回路の閾値を調節した……もっと言えば、『対お前用』に激烈なアップグレードをさせてもろた」

「……」

「ナナノと融合したことで、なんや、妙に凶悪な性能になったっぽいけど……パワーアップする権利を持っとるんは、そっちだけやない。――あんまり、このぼくをナメんなよ」

 そこで、ウラスケは、グっと唾をのんで、

「……こんなこと、ほんまは言いたく無いけど」

 そう前を置いてから、グワっと、視線を鋭くして、



「………………これでも、ぼくは、正真正銘、タナカ家の人間や。カス相手にあっさりと膝を屈したりはせん!」



 そこで、アスカは、貫くような目でウラスケを見つめる。

「なるほど……やはり、あなたは素晴らしい。是が非でも、私の一部になってもらう」

「お前なんかに奪われるほど、ぼくはヤワやない。お前ら二匹のバケモノをブチ殺し、繭村と高瀬を取り戻す」

 宣言し、
 ウラスケは飛翔した。
 オーラを練り上げながら、

「ボコボコにして、ひっぺがす!! それが無理なら、他の方法を考える! なんとしてでも、二人を救い出す! なんべんでも言うぞ! ぼくをナメんな、イカれたバケモノども!!」

 高速の襲撃。
 無数のジオメトリを展開しつつ、
 バフとデバフを拡散させながら、
 拳の雨で、アスカを討とうとする。

 が、アスカは、その全てをヒラヒラと軽やかに避けて、

「どちらが相手の支配者か……それを、ぶつかりあって探り合う。けっして、悪くはない提案ね。いいわ、受け入れる」

 言ってから、アスカは、
 ウラスケの腹部に、

「ぐぶっ!」

 ヒザを叩き込んだ。
 くの字に曲がるウラスケの後頭部に、
 続けて、ヒジをブチこむ。

「がっはぁ!!」

 衝撃で首が折れたかと思った。
 しかし、丈夫なドラゴンスーツのおかげで、なんとか死は免れる。

 アスカは、そんなウラスケの頭部をつかみ、



「たった二発……けど、もう充分でしょう? あなたは、力の差が分からないほど愚かじゃない。無意味に殴り合いを続ける必要はないわ」




 淡々と、

「私が、あなたの支配者。これでいいわね?」

 はるか高みから、
 まるで神のように、
 優しく手を差し伸べてくるアスカ。

 そんな彼女をにらみつけながら、ウラスケは、

(マズいな……ここまで強いとは……想像しとったよりも、はるかに上……昨日の連中の比やない……今のぼくでは、どうあがいても勝てん……)


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