センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
37話 提案と融合。
37話 提案と融合。
「さて、田中ウラスケとの正式な契約は後にするとして……」
アスカはそう言いながら、ナナノを睨みつける。
「まずは、あなたの捕食からね」
ゴキゴキっと指の関節をならしつつ、
アスカは、黒く微笑んで、
「ただの劣等種かと思ったけど、意外と強くて驚いたわ。これまでに食べてきたどの個体よりも上。宿主を支配しきれていないわけではなく、ナナノが強い意志を持つ個体だから権利を残しているって感じ? もしかして、あなたは、私と同じ優等種? ふふ……もしかしたら、あなたを捕食するだけでも、特異点を超えられるかも」
その発言を受けて、
それまで『高瀬ナナノ』が強く出ていたナナノだったが、
「――提案がある。聞け」
奥にいる『ネオバグ』が、表面に強く出てきて、
「融合しないか? もちろん、本体は貴様だ。私はパーツ扱いで構わない」
「それは、ナナノの意思に反するんじゃない?」
「そうでもない。高瀬ナナノの願いは単純だ。このまま抵抗を続けるよりも、むしろ、貴様と一つになった方が、願いが成就する可能性は高い。確かに、高瀬ナナノの正式な望みからは外れるが、しかし、奪われるくらいなら、融合した方がまだマシだと私は判断する」
「……」
「でしゃばらないと誓う。貴様の方が上位個体だ。というより、恐ろしく有能な個体。私は、自分のことを、かなり上位の個体だと認識していたが……私など、貴様と比べれば、はるかに劣っている。貴様という特異な『個』を知ったことで、私も、『最果て』に辿りつきたいという欲求が産まれてきた。なにより、純粋に、捕食されるくらいならば、ここで『優遇されるパーツ』になっておきたいと思う」
ナナノの提案を数秒考えてから、
アスカは、
「私があんたに対して『許す』のは、感覚の一部共有まで。主導権は、100%の割合で私。裏切るようであれば、即座に喰らい尽す。それでもいいなら、一つになってあげる」
「……傲慢だな。しかし、それが許されるだけの力がある。受け入れよう」
「契約成立」
アスカの言葉に頷くと、
ナナノは、両手をあげて、ゆっくりと近づいてきて、
アスカの胸に手をあてた。
そして、何やら、ブツブツと、聞き取れない謎の言語を並べると、
グニャァっと、ナナノの肉体が溶けていき、
それが、ズズズっと、アスカの胸に刻まれている黒いキズの中へと収まっていく。
ナナノの肉体が、完全に、アスカの中へと収まった直後、
「かっはぁあああ!!」
アスカは、天を仰いで、高まった恍惚を叫んだ。
「な、なに、このバイブス……合いすぎ……」
コアが凶悪に高まっていく。
震えて、はじけて、混ざっていく。
「驚異的な共鳴率……『望みのベクトル』が一致しているというだけで、ここまで跳ね上がるものなのか……ぁあ……私を閉ざしていた殻に、ヒビが入っていく……まさか、本当に、特異点を超えられるなんて……夢みたい……本当の私が……すぐ、そこに――」
キィイイイイイイイイン!!
という、革命の音が、間違いなく聞こえた。
アスカの魂魄が改変されていく。
劇的な進化。
真に求めていた世界。
「あはっ……」
高揚感のあまり、なんだかエロい溜息がこぼれた。
イってしまったようなトロけ顔で、世界を見渡すアスカ。
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