センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
35話 優等種と劣等種。
35話 優等種と劣等種。
「そんな気はしてた……確証はなかったけど、たぶん、そうなんだろうなって」
アスカの黒刃をはじき返しながら、ナナノは、冷静にそうつぶやく。
アスカは、一瞬だけ、ギリっと、『心底ウザったそうな表情』を浮かべたが、
すぐに、スっと表情をフラットに戻して、
「……いつから?」
そう問いかけると、
ナナノは、視線を外しながら、
「ちょっと前。正確にいつだったかは……忘れた」
淡々とそう答えた。
感情のない声。
友人に向ける声ではない。
敵対者に向ける殺意の色。
――アスカが尋ねる。
「誰かを殺した経験は?」
「ないわよ、親殺しのあんたとは違う」
「……つまり、完全な初期状態ってわけね」
「どういう状態かなんて知らない。なに、あんた、そんなに、コレに詳しいの?」
そんなナナノの問いを無視して、
アスカは、ニっと笑い、
「……劣等種の初期個体。食える……余裕で……宿主ごと、あんたの全部をもらう」
「ずいぶんと、ふざけた事を言ってくれるわね」
そこで、ナナノの全身を、黒いオーラが包み込む。
その様子を見て、アスカは鼻で笑い、
「ナメているのはそっち。気配で分からない? ……ぁあ、それもわからないレベルか。じゃあ、教えてあげる。あなた程度じゃ、私の足下にも及ばないってこと」
そこで、アスカは、自身のオーラを膨らませてみせた。
それを見て、ナナノは、
「……っっ?!」
思わず、ゴクっとつばをのんでしまった。
彼女の中にある『本能』が最大級の危険信号を鳴らす。
「どうして……そんな……」
「この数年間で、私が食ってきた『命』の数は三ケタを超えるから」
「さんけた……っ」
そこで、繭村アスカは、ニっと笑い、
「初期状態のあなたと違い、私は、すでに、最終形態まで進化している。『繭村アスカ』は、『私』を正しく理解していないから、『昨日の輩』程度にも怯えていたが……私がその気になれば、あの程度の連中、どうとでもなる」
「……昨日の……輩?」
「我々を狩ろうとしている者。神話狩りとか言っていたかな。ははは……それなりの力を持っていたようだけれど、最終形態にまで進化した私を狩れるほどじゃない」
「……」
「それに、今の私には、そこそこの力を持った下僕もいる。あれはいい。まだまだ発展途上で、現時点の力は、私に及ぶべくもないけれど、しかし、潜在能力は凄まじい。さすがは、『この銀河の正当なる支配者』の血統といったところ」
「下僕……まさか、田中裏介のこと?」
「神話狩りとの闘いで成長したタナカ・イス・ウラスケと、あなたたち劣等種という『養分』を喰らい尽した私が一つになれば、『究極の神』をも超えた絶対の個体『究極最終形態ネオグレートバグ』となれる。その時、世界は、本当の『運命』を知る……」
「あんたと、田中裏介が一つに……そ、そんなこと……絶対に許さない……」
「ん? ああ、まだ、宿主の意識を完全に抑え込めてはいないのか。ほんと、ハンパな個体ね。私のような優等個体とは比べ物にならない、完全な劣等種。私は、優等種だから、最初から、『根源的な人格』以外の全てを掌握していたわ」
そこで、アスカは、両の拳を握りしめ、
「食べる前に、少しだけ魅せてあげる。優等なバグの、正しく進化した、美しい姿を」
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