センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
32話 タナカウラスケの学校生活。
32話 タナカウラスケの学校生活。
ナナノと別れたあと、
学校に向かい、歩き出す二人。
数秒、無言だったが、
ふいに、
「田中くん」
名前をよばれて、ウラスケは、
「へ? なに?」
そう返事をすると、わずかな時間――『2~3秒の間』を経てから、
アスカが、無理に感情を殺したような、変にフラットな声で、
「ナナノって、かわいいよね」
「急にどうした」
「ただの雑談。こたえてよ」
フラットな圧力に押され、
ウラスケは、少し委縮しつつも、
しかし、なんとか、
「……まあ、高瀬は、カースト最上位の美少女様やからなぁ……そら、まあ、もちろん、カテゴリ的には、チョーかわいいに分類されるやろう」
淡々と、自分の意見を並べていく。
「加点方式で点数をつけた場合、好みが反映されるから、バラつきが出るやろうけど、減点方式にしたら、目も鼻も肌も髪も、どこにもマイナスをつけられんから、普通に満点になる……そういう、稀代の美少女――」
「一般論なんて聞いていない。私は、あなたの意見を聞いている」
「……」
「あなたの視界に、彼女はどううつっているの? 正直に答えて」
(なんか、取り調べを受け取る気分やな……ぁあ、しんどい、しんどい……)
ウラスケは、心の中で深い溜息をついてから、
「まあ、かわいいと思う……非常にレアなルックス……」
「つきあいたいとか思う?」
「まあ……普通に……」
「そう」
平坦な声でそう言うと、以降、アスカは無表情のまま黙りこくった。
そんな彼女の奇妙な態度を受けて、ウラスケは、心底辟易した顔で、
(……この空気、きっついなぁ……くそが……なんで、こんな目にあわなあかんねん……)
と、また、心の中で溜息をついた。
★
学校に到着すると、
二人は、他者の好奇心を刺激しない『適切な距離』をとって、
いつも通りのルートを通り、自分の席についた。
アスカは誰ともしゃべらずに、カバンから『本』という名の分厚いバリアを取り出すと、おもむろに『現在、本を読んでいますので、声をかけるのは、ご遠慮ください』系のATフィールドを展開する。
そんな彼女をチラ見しつつ、
ウラスケは、『友人』と談笑を開始した。
「タナッカマン、ごめん。昨日教えた小テストの範囲、ちがってた」
「三時間目のやつ? エエよ、べつに。大丈夫、大丈夫」
「さすが、タナッカマン。『範囲なんかどうでもいい。俺が受けたテストにつく点数は100以外ありえない』……ってやつだね」
「ってやつかどうかはわからんけど……」
ウラスケには、普通に友人がいる。
ウラスケは、『当然』、成績でブッチぎりの学年一位を取っているが、
そんなことよりも、『友人がいるという事』の方がはるかに自慢だった。
その事実があれば、『自分は、タナカ家の連中とは違うのだ』と言い張っていられるから。
友人である『無能な彼』との会話で得られるものはゼロだし、
わずかも楽しくないし、
心底かったるくて仕方ないし、
『ふざけたあだ名つけやがって、殺したろか』と憤慨しているが、
しかし、そんなことはどうでもいい。
『イカれた血筋の連中』と『違うステージ』に立っているか否か。
それだけがウラスケにとっての全て。
(……しかし……このアホは、どうして、こうもくだらん事しか喋られへんのやろうか……そうしてアホをさらし続けるより、黙っといた方が、社会にとってまだ有益やと思うんやけど……)
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