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30話 高瀬ナナノの興奮。



 30話 高瀬ナナノの興奮。


 ――翌日、
 身支度を整えた二人は、学校に向かうため、揃って家を出た。
 こんな時に、学校にいっている場合かとも思ったのだが、

「私も、ほとんど一人暮らしみたいなものだから、家に帰らない事に関しては、何日か大丈夫だと思うけど、学校を休むとなったら、保護者である祖父に連絡がいくと思うから……」

 とのことで、学校に向かう事になった。
 『学校が世界の中心』である中学生の理論。

 ちなみに、彼女の家は、それなりの値が張る高層マンションで、
 彼女の祖父は、そのマンションオーナー。

 祖父は、最上階の16階に住んでおり、彼女は、その一つ下の15階に住んでいる。
 なぜ、部屋が分かれているかといえば、理由は一つで、
 『いつ、自分の中のコレが暴れ出して、祖父を殺すかわからないから』

 だから、アスカは、なんやかんやと理由をつけ、
 『同じマンション内で部屋と階層が違うだけなら、同じ家内の違う部屋に住んでいると大差ない』という超理論を展開したりもして、
 結果、半一人暮らしを容認してもらった。

 両親を殺してからの数年、
 アスカは、一日たりとも夜遊びなどした事がないので、
 祖父からの信頼は厚く、
 いまでは、特に、連絡などいれなくとも、いっさい文句の一つも言われない。
 ときたま、夜8時ごろに電話がかかってくるくらいで、
 それ以外に、何かうるさく言われることはなかった。

「昨日の人たち……『神話狩り』だっけ? あの人たち……学校にもくるかな?」

「まあ、可能性はゼロやないな。秘密結社を名乗ってたから、人目のおおい学校で悪目立ちするマネはせんやろう、と思いたいけど……どうやら、特殊なフィールドを展開したら、人目を気にする必要もないみたいやし」

 などと会話をしながら、
 門の外に出たところで、





「はぁ?!」





 少し離れたところから、
 そんな、疑問符の叫びが聞こえた。
 若い女のソレで、しっかりと聞き覚えのある声だった。

 反射的に、ウラスケとアスカの二人が、声が響いた方へと視線を向けてみると、三十メートルほど離れた電柱の陰に、
 彼女――高瀬ナナノがいて、
 鬼のような顔で、ウラスケの隣にいるアスカを睨みつけていた。

 ナナノは、ウラスケたちが、自分の存在に気付くと同時、
 ズンズンと肩で風を切りながら、早足で近づいてきて、

「え、どういうこと?! なに、なんで?!」

 と、鼻息荒く、強めの語気で、ウラスケに詰め寄った。

「は? 『なんで』って……なにが? ていうか、なんで、高瀬がここに――」

「私が、ここにいるのは、たまたま! そんなことより、なんで、あんた、アスカと一緒に家から出てきたの? はぁ? なんで?」

「ぁあ……えっと、ちょっと色々あって……」

「いろいろって? 朝、一緒に、二人で、『他に誰もいない、あんたの家』から出てくる理由って?」

「……他に誰もいない家……え、なんで、ウチの家の事情を知って――」

「そんな事はどうだっていい! ちゃんと、答えなさい!」

 目と鼻の先で、有無を言わさぬ強烈な勢いを押し付けてくるナナノ。

「いや……ぁの……」

 ウラスケは混乱したが、
 しかし、グっと奥歯をかみしめて、
 ナナノの目をまっすぐに見つめ、

コメント

  • 迅生

    おやおやウラスケ君ハーレムですか爆発すれば良いのに(*´ω`*)

    0
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