センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
19話 ガキのワガママ。
19話 ガキのワガママ。
「ぼくは、凡人でありたかったから、妙な力を手に入れたから言うて、はしゃいだマネはせぇへん」
(こいつが、そうだったとしても、他の奴も、そうだとは限らない……)
人は、巨大な力を手に入れて、使わずにいられるほど強くない。
(それとも、もしかしたら、携帯ドラゴンは、こいつのような、ある意味で、聖人君子のような、無害の者にしか渡らないようになっているのか……)
虹宮は、数秒、頭を回転させたが、
(現時点では、いくら考えても分からないことだな)
と、締めてから、
ウラスケに視線を送り、
「ぼくの見解だと、お前は危険分子ではない。充分な自制心を持った人間だと判断する。だから、できれば、神話狩りに加入してもらいたいと思っている」
「そら、ありがたい評価やけど、しかし、それは、そっちが繭村アスカの対処について考え直してからの話や」
「考え直すべきなのは、お前だ。お前は、現状が理解できていない。その女は、いつ爆発するか分からない核みたいなもの。そして、その被害規模は、『一つの都市に甚大な被害を与える』とか、『数万人が命を落とす』などという、常識の範囲に収まる代物じゃない。その女……ネオバグの中には、世界を終わらせることだって不可能ではない異常なエネルギーが秘められている」
「……しっかりとした厨二やなぁ。顔まっ赤になるわ」
「バカにするのは自由だが、現実は受け止めろ。今のお前は、世界にとって害悪でしかない。おれたちは、文字通り、命がけで、世界のために働いている。お前は、そんなおれたちの邪魔をしている障害。それだけが現実」
虹宮の言葉を、ウラスケは、キチンと受け止めた。
内容が理解できないとか、そもそも理解する気がないとか、
そんな、ズレた逃避でお茶を濁したりはしない。
ちゃんと飲み込んで、受け止めて、
その上で、
(……それでも……イヤなもんはイヤなんじゃ、ぼけ……)
ガキのワガママで迎えうつ。
理屈や常識にとらわれない奔放なカルマ。
幼稚さという、トリッキーな剣呑。
そこで、ウラスケは、
スっと、目を閉じて、
「……あんたって、めちゃめちゃ強いけど……」
ぼそぼそと、
「あんたらの大将……確か『聖主』やったっけ? そいつは、あんたよりも遥かに強いんやったっけ?」
「ああ、比べ物にならない。なんせ、聖主は、大いなる邪神を狩った人類の救世主だから」
「邪神を狩った救世主……はぁ……まあ、その辺はようわからんけど……」
とフワフワした前を置いてから、
ウラスケは、
「それだけ強いんやったら、少女一人にビビる必要なんてないやろ。今後、繭村の監視はぼくがやる。で、仮にぼく一人で止められへんかったら、その時は、その聖主様がどうにかしたらええ……それだけの話とちゃうんか?」
「今、この瞬間に処理しておくのが、一番簡単で確実。聖主は、確かに、世界最強の神殺し。それは間違いない。しかし、そこのネオバグが、聖主を超える可能性はゼロじゃない。わかるか、その可能性は、決して荒唐無稽じゃないんだよ。もちろん、限りなくゼロに近いのは事実だが、しかし、ゼロではない以上、放置はあまりにも愚策」
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
33
-
-
1266
-
-
107
-
-
63
-
-
29
-
-
2813
-
-
37
-
-
361
-
-
127
コメント