センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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8話 助けて。


 8話 助けて。

「なんで、私のことがみえるの……あなた……もしかして、特別な人? ……だ、だったら……」

 グっと、近づいてきて、
 ウラスケにすがりつき、

「だったら、おねがい……」

 涙をぼろぼろとこぼしながら、

「……どうか……わたしを殺し……」

 声をふるわせながら、

「……ころ……し……」

 と、そこまで言ったところで、口を紡いだ。
 込みあがってきたから。
 とても小さくて、ほんとうにわずかな、希望。
 そんなもの抱いても傷つくだけだと知っているはずなのに、
 けれど、止まらず、

「こ……っ」

 だから、
 ブンブンと、首を振った。
 誰に対する否定なのか、なんの拒絶意思なのかはわからない。

 けれど、とまらない。

 繭村アスカは、また、大粒の涙をこぼしつつ、
 かすれた小さな声で、

 しかし、ハッキリと、





「……助けて……」





 とつぶやいた。


「おいおい……ちょっと、待ってくれや。なんや、この状況……」


 意味不明な『救い』を求められて、困惑がとまらないウラスケ。

「えと、まずは、話を聞かせてくれ。もし、アレやったら、力になれんこともないかもしれんから……ぇ~とえと、あの……と、とにかく、どこか、ファミレスかどこかで――」

 と、その時だった。

 ギィンと、何かが裂けるような音が聞こえた。
 音の方に視線を向けてみると、

 空間に、何やら、亀裂のようなものが入っていて、
 そこから、
 二人の男が出てきた。
 ――この突飛な状況を受けて、ウラスケは、渋い顔をしてつぶやく。

「おいおい、また、なんか、さらに、ややこしい事になってきたやないか……勘弁してくれや」

 同い年か、もしくは、少し年上くらいの、
 おそらく中学生であろう二人の男。
 彼らは、ウラスケとアスカそれぞれに一瞥をくれると、



「……おい、岡葉。討伐目標って二匹だっけ?」



 味崎がそう声をかけると、
 岡葉が、淡々と答える。


「いや、一匹だけだよ……女の方がネオバグで、男の方は……一般人だね」

「一般人……なら、なんであのガキ、ネオバグフィールドが展開されてんのに、ネオバグや俺らを認識できてんだ? 今も、がっつり、目があってんぞ。あいつ、完全に俺らの姿を視認している」

「さあ、特異体質じゃない? そういう人間もいるってことだと思うよ」

「そんなサラっとすませるようなことじゃないだろ。謎の特異能力者発見って、結構な大問題じゃねぇか」
「そうだね。だから、当初の予定どおり、ネオバグは排除して、男の方は、『聖域(第一アルファの認知領域外にある、神話狩りの拠点)』に連行してから、解析して情報を得ておくとしよう」



 二人は、会話を終えると、
 そこで、ゆっくりと、ウラスケたちの元まで近づいてくる。

 近寄ってくる味崎と岡葉の威圧感に、
 アスカはビクっと震えて、ウラスケにギュっと、強く抱きついてくる。

 そのぬくもりを受けて、
 混乱していたウラスケの心臓に覚悟が宿った。
 ドクンと強く鼓動して、大動脈に極端な圧がかかる。

 ほとんど反射的に、ウラスケは、
 ギンと、目に力を込めて、
 岡葉たちを睨みつけ、

「ちょ、待て、そこの二人、動くな、とまれ……ぼくの話を聞け」

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