センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

136話 俺は究極超神の序列一位。


 136話 俺は究極超神の序列一位。

「くく……はははっ! 笑えるぜ! お前がお行儀よく、授業を受けているシーンを、ぜひ、この目で見てみたい……が、残念ながら、その抱腹絶倒に興じる夢は叶わない。お前は、ここで、俺に殺されるから」

「違うな。今日、ここで死ぬのはお前だ。お前が、俺に殺される。そして、俺は『最強』に戻る」

「……ほざけ、ボケ。中坊と合体したくらいで、どんだけ過大な夢を見てんだ。てめぇごときが、俺に勝てるわけねぇだろ、この出涸らし出オチ野郎が」

「勝つ。そのために積んできた」

「どうやら、俺が誰か忘れたみたいだな。あらためて教えてやるから、聞いてきやがれ」

 そんな煽りを受けたソンキーは、

「あの日から、てめぇの存在を忘れた瞬間など、一秒たりともないんだが……まあいいや」

 かるく笑ってから、
 礼節をもって問う。

「お前は、誰だ?」





「――俺は究極超神の序列一位。神界の深層を統べる暴君にして、運命を調律する神威の桜華。舞い散る閃光『センエース』――」





「モンジンじゃなかったのか?」

「お前に偽名を使う意味なんかねぇだろ」

「そもそも、なんで偽名を使ってたんだ」

「そういう気分だったんだよ」

「………………お前、そういうとこあるよな」

 そこで、ソンキーは、全身に力を込めた。
 膨れ上がっていくオーラに包まれる。

「ん……俺の中のトウシが、お前に対して疑念を抱いているぜ。『センエースって、もしかして……』だってよ。答えてやれよ」

 その問いに対して、究極超神センエースは迷わずに、

「お前が知っているヤツとは違う……そう伝えろ」

 即答すると、
 トウシも、

「……『せやろな』とさ」

 そこで、ソンキーは、ゴキゴキっと首をならして、

「さて、いい加減、くだらないお喋りは終わりにして……純粋無垢に、殺し合おう」

 言葉が終わると同時、姿を消した。

 神の王センエースは、眼球を小さく、ククっと動かした。
 オーラの軌跡を掴み、流れを読むと、半歩分、後ろにさがった。
 それとタイミングを同じくして、センの目の前に豪速の拳が横切る。
 あえて、紙一重で避ける挨拶。
 ボクシングで、最初にグローブを合わせるようなもの。

 直後、ソンキーは、また姿を消した。

(凶悪な数のデコイ……裏からの一手は気弾系の連射……全部、フェイント……ソンキーの闘い方じゃない……戦闘プランは、トウシが立てているのか……面倒)

 本来の『ソンキーの闘い方』は、とことんまで『自分という深淵』を追い求める超戦闘バカスタイル。
 『自分が相手よりも強いかどうか』を、自分自身に対して、愚かしいほど純粋に問い続けるという、極めてアホなメソッド。

 野球で例えるなら、『より速い球を投げる事だけ』を追求しているようなもの。
 160キロに到達できたら、次は迷わずに161キロを求める。
 それ以外に価値を見出さないド変態。

 『誰かに投げて打ちとる』とか、そういう事はどうでもいい。
 ただ、自分が、より高みにたどりつく事のみを考える完全自己中心男。

 勝敗を求める『闘い』ではなく、自己問答を愛する修羅。
 それが、ソンキー・ウルギ・アース。

 しかし、今、ソンキーは、まっすぐな殺し合いをしている。

(膨大な有利フレームの計算式……小技の応酬で距離を稼ぎつつ、時折、牽制のブッパで恐怖を刻んで、的確に竦(すく)ませてくる……)

 自分の強さを追い求めるのではなく、
 相手を殺すための一手を放っている。

 ――張り詰めた線上の烈空で、
 ソンキーは言う。

「……美しくない。歪みしか感じない。こういうのは、好きじゃないな、やはり……」



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