センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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132話 よぉ、ひさしぶりだな、ド変態。


 132話 よぉ、ひさしぶりだな、ド変態。

「……痛いよ、神様……色々なところが痛い……なんで、こんな……」

「ウジウジ、ウジウジ、うるせぇなぁ。そういう『弱さ』は、もういいよ。さっさと乗り越えて変身の一つでもしてみせろや。言っておくけどなぁ、実際の現場じゃ、ここまで待ってくれる悪役なんかいねぇぞ。ったく、くだらねぇ、つまんねぇ、かったりぃ……ぁあ、もういいや。飽きた」

 そこで、モンジンは、トウシの頭に、右手を押し当てて、

「死んでろ、ばーか」

 ゼロ距離から、エネルギー弾をぶちこもうとしたが、
 そこで、


 ――ガッっと、


 トウシの手が、モンジンの右腕を掴んだ。
 グっと、強く。
 その力強さには、深みがあった。
 その圧力には、気品があった。

 モンジンの腕を掴んだまま、
 トウシは口を開く。




「よぉ、ひさしぶりだな、ド変態」




 トウシの口から出た言葉だが、
 しかし、間違いなくトウシの声ではなかった。
 タナカトウシでは絶対に出せない声質。
 妖艶で、少し高い、神の声。
 ――つまりは、トウシの中にいる神の声。

 『ソンキー・ウルギ・アース』の言葉を受けて、
 モンジンはニっと笑い、


「そうだな。前に会ったのがいつだったか完全に忘れたほど久しぶりだ。元気にしていたか、戦闘バカ」


「てめぇが俺を超えて以降、一秒たりとも、心休まる時はなかった。『元最強神』なんていう『クソダセェ称号』を名乗らないといけなくなった屈辱……ここで晴らさせてもらう」

「お前じゃ、俺には勝てねぇよ、ソンキー。俺は、すでに、お前の遥か先を行っている」

「そんな事は知っている。お前は強い。だが、だからといって最強の座を諦めるほど、俺は素直じゃねぇ。というより、諦めきれるほどの余裕がねぇ。『最強』は俺の存在証明。……必ずとりもどす」

 その言葉を受けて、モンジンは嗤って、

「いいねぇ。その気概が大事だよな。このガキにも言ってやってくれよ。『諦めたらそこで試合終了ですよ』って」

「言われなくても、このクソガキには、ガツンと喝を入れてやるつもりだ。女が殺されたくらいで、情けねぇ。魂魄に俺を宿していながら、なんてザマだ」

 その言葉に対し、
 ソンキー・ウルギ・アースではなく、
 外殻である『タナカトウシ』が反応を示す。


「そんなに闘いたいなら……神同士で勝手にやっとれ……人間を巻き込むな……」


 と、まるで落語のように、
 自分の口から飛び出したセリフに対し、自分の口で答えを返す。

 力ないトウシの言葉に対し、
 ソンキーが答える。

「下を向くな、鬱陶しい。まだ、すべてが終わったというわけじゃない」

「ああ、もちろん、そうや。ワシはまだ生きとる。全部は終わってない。けど、それだけや。ジュリアは死んだ。ワシの勝利条件はその時点で死んだんや。ワシだけ生き残ったって意味ないんじゃ、ぼけ」

「不貞腐れている暇はない。あのガキどもの魂魄は、まだ、この世界にとどまっている」



「……ぇ……」

 ハっと顔を上げるトウシ。
 トウシが、疑問符を口にするよりもはやく、

 ――モンジンが、

「おぉい!」

 と、眉間にグーっとシワを寄せた渋い顔で、

「言うなよ、クソバカ!」


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