センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
106話 心の折れる音。
106話 心の折れる音。
「帰るんだよぉおお! 俺は絶対に、家に帰る!! こんなところで死んでたまるかあああああ!」
血走った目で叫ぶ伊達。
そんな伊達の目をジっと見つめながら、岡葉が、ボソっと、
「同感だ。痛いほど、君の気持がわかる。俺もまったく同じことを思っている。絶対に生きてここから帰る。こんなところで死んでたまるかって」
「俺は絶対に、日本に帰って、政治家になるんだ!! そして、好き勝手やっている反日パヨク連中を一掃して、日本を守るんだ! こんな、ワケわかんないところで死んでるほど、俺はヒマじゃねぇんだぁあ!!」
極右な伊達の言葉を受けて、
決して左寄りではない岡葉は、
「ご立派な夢だ。ぜひ応援したいところ……」
そうつぶやいてから、
「だが、君の願いはかなわない……君はもう死んでいるから」
「ふざけた事言ってんじゃねぇ! ケンシロウ気取りかぁあ!」
「いや、そういう意味じゃ――おっと」
「避けんじゃねぇええ! 死ねよぉお! 頼むからぁあああ!」
その言葉を聞いた虹宮が、
「頼むから……か」
ボソっとそう言ってから、
「なら、おれも頼もうか。――頼むから、終わってくれ」
モード・アルクスをつかい、機動力を底上げする。
宣言によって変形していくドラゴンスーツ。
よりシャープでエッジのきいたフォルムとなり、
極彩色に発光している後輪を背負う。
「身勝手に、ワガママに、おれは、君を終わらせる……悪いな」
ギュンと加速して、虹宮は、伊達の顔面に拳を叩きつけた。
「ぐがっ――」
『よろけたスキ』を見逃す甘さなど持ち合わせていない。
虹宮は、一切の情けを排除して、最短・最善の一手のみを放ち続ける。
伊達は間違いなく武の天才だが、
対峙した相手が悪すぎた。
伊達では虹宮にはかなわない。
「――っ……くそ……ちくしょぉ――」
あっさりと、伊達は堕ちた。
ボコボコにされて、最後は丸のみ。
あっけない最後だった。
そんな伊達の最後を目のあたりにして、
三万の中学生たちの心が折れた。
伊達という戦力が光だった。
彼・彼女たちにとって、伊達は、まさに、虹宮たちにとってのタナカトウシ、ゼノリカにとってのセンエースのようなもの。
もっとも優れていて、もっとも強かった者。
土壇場における強さも、屈しない心も、
すべてが、主軸であり希望だった。
だから、折れた。
伊達が死んだことで、
ボキっとヘシ折れる音が世界に響きわたった。
敵の戦線は完全に崩壊した。
神話狩りの勢いは増すばかり。
――三万もいるので、当然、中には、多少の勇気を見せる者もいたが、
「……ダメだ……あいつら……強すぎる……」
「勝てるわけがない……」
神話狩りの圧倒的なスペックを前にして、最後まで勇気を叫んでいられるヒーローなどいなかった。
ただただ、無慈悲に飲み込まれていく三万の中学生達。
――と、その時、
「詰みだな。もはや意味はない」
彼らの上空に、
ミシャンド/ラが出現し、
「しかし、まったく……それだけ強化されておきながら、多少の抵抗すら出来ないとは……本当に使えないクズどもだ」
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