センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
105話 強い個体。
105話 強い個体。
ネオバグとの戦闘を経て携帯ドラゴンの強化値を底上げしている8人は、
圧倒的な力でもって、前線を抑えこみ、時間と共に、メキメキと強化されていく。
――神話狩りのメンバーによって、数百近い龍が捕食されたところで、
「好き勝手しやがって! この、くそったれどもぉおおお!」
三万の部隊、その最奥から飛び出してきた、ガタイのいい男子中学生――伊達が、
岡葉の頬にガツンと拳を叩き込んだ。
「むっ……」
伊達の火力が足りなかったため、大きなダメージにはならなかったが、
それなりの衝撃ではあったため、岡葉は、少しだけ体勢を崩した。
殴られた頬を軽くなでながら、岡葉は心の中でつぶやく。
(……こいつは、一撃で食えるザコじゃないな……)
『体格がいい』というだけではなく、にじみ出ているオーラなどから、
岡葉は、目の前にいる伊達が、それまでに捕食してきたザコとは一味違うと理解する。
警戒心を引き上げて、
適切な距離を選択しつつ、
岡葉は、伊達の目をキっとにらみつけて、
「こっちにトウシくんがいるように、そっちにも切札がいるってことかな」
そうつぶやいてから、視線は外さずに、
「……虹宮、手伝ってくれないか。彼は……少し強い」
要請を受けると、虹宮は、軽く鼻で笑ってから言う。
「チュートリアルすら突破できなかった相手にてこずるなよ、岡葉」
「てこずっているわけじゃないよ。勝てないわけじゃないけど、枚数有利なら、損失ゼロかつ確実に倒せるから、効率を考えて、手を貸してくれと言っているだけだ」
「……ああ、そう」
岡葉のプライドの高さに軽く呆れながら、
虹宮は、伊達の背後に回り、捕食しようと飛びかかった。
『岡葉に集中している相手』の背後をつくだけ。
簡単なお仕事だと思った。
けれど、そんな虹宮の一撃を、
伊達は、寸での所で回避して、逆に、
「ぅぐ!」
虹宮の腹部へカウンターをぶちこんだ。
「この俺だけは、簡単に殺せると思うなよ! クソ野郎ども!」
ビンビンに高まった集中力は見事の一言に尽きた。
伊達は、戦闘に関するセンスがズバ抜けていた。
『戦闘能力』など、2000年代の日本では、何の意味もない能力で、
だから、本人も、その点がズバ抜けて高いというコトに気づいていなかったが、
こんな状況になったことで、その特異な資質が開花した。
もし、伊達が戦国時代に生まれていたら、確実に、
『もっとも強かった武将は誰かランキング』に名前を連ねていただろう。
「俺の仲間を……ぽんぽん、ぽんぽん、殺しやがって……この鬼畜生どもがぁ……」
3万も集まれば、その中に一人か二人くらい、『生まれつき戦闘力が高い』という稀有な個体もいる。
伊達は、戦闘系のゴールドスペシャルを持つ、武の天才。
きちんと、時間をかけて磨けば、九華の第十席も狙えうる逸材。
そんな伊達の資質に気づいた虹宮は、
「……なるほど、確かに……少し強いかな」
ギュギュっと拳を握りしめ、伊達を正式にロックオンする。
もはや、油断は微塵もない。
確実な殺意を伊達に向ける。
前方には岡葉、後方には虹宮。
――完全に包囲された伊達は、
「帰るんだよぉおお! 俺は絶対に、家に帰る!! こんなところで死んでたまるかあああああ!」
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