センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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97話 そなえ


 97話 そなえ

 ネオバグを倒した直後、気付けば、虹宮たちは、日本に転移する前の状態に戻っていた。
 そこには、アダムが待っていて、

「見事だ。ネオバグを倒したお前たちには、それぞれお10億MDPを報酬として与える」

「それぞれ10億……」
「また、とんでもない数字だな」
「サービス終了前のソーシャルゲーもかくや……」

「さらに、ネオバグ討伐ミッションをクリアしたお前たちには、300万MDPで回せる限定スペシャルガチャ『デストロイ・アルテマゴッドキャンペーン・ガチャ』の使用許可が出ている。クライシスのように、超高確率で究極レアが出るわけではないが、かなりの確率で究極レアが出る仕様になっている。これで、ミシャンド/ラとの戦争に備えるといい」

「……なんか、ずいぶんと親切というか……気前がいいですね」

「主上様は、理不尽を嫌い、ルールを遵守なさる御方。難しいミッションをクリアした者には相応の対価をあたえる」

「……へぇ」

 岡葉はそうつぶやいてから、心の中で、

(確かに、楽なミッションではなかったが、アルテマ・トランスフォームさえあれば、さほどの難易度ではなかった……何か、裏を感じるな……)

「戦争開始は数時間後。それまでに準備を整えろ」

 そう言って、アダムは瞬間移動でその場をあとにした。




 ★

「とんでもない強さだった……」

 闘いを見届けたセンは、渋い顔で、ボソっと、

「神話狩りがいない状態で、あんなもん(ネオバグ)が暴れたら、第一アルファは一瞬で壊滅するな……」

「あの虫は、もう死んだから別にどうでもいいじゃないでちゅか」

「歪みはまだ残っている。いまだ、俺の潜入を拒んでいるのがその証拠。もし、ネオバグの性質が、バグと同じなら……さっきのヤツのほかに、9999体いるってことになる。そして、もし、性質が完全に同じなら、一万匹を殺しきらないと、復活し続ける……」

「流石に、ネオバグ1万体の処理は、あのガキ共じゃムリでちゅね。第一アルファ……いい世界だったんでちゅけどねぇ、まあ、ドンマイ、ドンマイ」

「ドンマイですまそうとするんじゃねぇ」

 そこで、センは、アダムを呼びよせた。
 即座にあらわれて、うやうやしく片膝をつくアダムにセンは言う。

「ミシャに、『難易度を限界まであげていけ』と伝えろ。いっさい、手を抜かずに、ガキどもをイジメぬけ、と」

「おおせのままに」




 具現化した『ソウルレリーフ・ソンキー』との闘いの中で、
 トウシは、はやくも、戦闘という概念の輪郭を掴み始めていた。

(欠点がある……全てに……)

 トウシは理解した。
 『攻撃』とは、『負ける理由』。

(相手を削ろうとした分だけ、こちらは多くのスキをさらす)

 だが、同時に、

(だからといって、防御に徹するのは愚策。防御も『負ける理由』の一つやから)

 負ける理由が、相手よりも少ない方が勝つ。
 勝利とは、すべて、たまたまでしかない。

(攻撃だけやない……距離をとろうと踏んだステップアウト一つとっても、負ける理由……闘いに使った行動のすべてが、負ける理由……)


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