センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
73話 エンディングだぞ
73話 エンディングだぞ
トウシとの闘いを終えて、
虹宮という殻から抜け出し、
シューリの元まで戻ってきたセンは、
「そろそろ仕上げだな」
ボソっとそうつぶやいて、
「これだけ、徹底的に磨いてやっているんだ。文句はないだろ、シューリ」
そう尋ねると、
シューリは、しぶい顔で、
「文句があるかないかで言えば、文句しかありまちぇんよ。神の王が、『現世の中学生とサシでやりたい』なんていう、『どの世界の条例にも引っ掛かる事間違いなし』なクソ寝言をほざいているんでちゅから」
「あのなぁ……あいつがブッチ切って異常な才能を持っているってこと、お前も、もう分かっただろ?」
「そんなことはどうでもいいでちゅ。才能なんてなくても、神の王にはなれまちゅから。オイちゃんが言っているのは――」
「ああ、もういい、めんどい!」
「なんて態度でちゅか、そんな子に育てた覚えはありまちぇんよ」
「うっせぇ、ババァ!」
「ババァとはなんでちゅか! 世界一美しい女神に向かって!」
「……いや、うん……まあ、否定は出来ないんだけどさぁ……」
「――『申し訳ございません、世界一美しい女神様。永遠の隷属を誓います。この惨めな下僕めに、足をなめさせてください』と言いなおしなちゃい」
「調子にのんな、ババァ!」
と、そこで、アダムが帰ってきて、
即座に、額を地面につけ、
「主上様、先ほどは、無礼な態度をとってしまい、まことに――」
と、土下座をかましたアダムに、
センは、
「アダム、お前は、俺のパシリとして、『俺の命令』と『俺のワガママ』、どっちを通すべきかという重大な選択肢を前にして、間違いなく正しい決断をした。思考停止したイエスマンなんかいらん。お前が謝ることはなにもない。つぅか、謝るなって言っただろ」
「寛大な御言葉、感謝いたします」
「今後も、そのままでいろ。今回のは、ただのユニーク・ハイテンションだが、もし、どこかで俺が本当に間違いそうになったら、ぶんなぐってでも、俺を止めろ。俺の隣に立つってのは、そういう事だ」
「主上様が『本当に間違う事』など絶対にありえませんが……御命令は、しかと承りました」
★
なんとか、地獄の試合を乗り越え、元の講堂に強制転移で戻されたトウシたち。
彼らに『しばしの休憩』を言い渡したアダムが瞬間移動でその場から去った瞬間、
全員が、ワっとトウシのところに集まって、トウシという英雄を全力で讃えた。
「神に! 勝った!」
「トウシくん、ハンパないな!」
「これ、生き残れるだろ! トウシくんが神殺しを果たして、俺ら、余裕で生き残れるパターンの、ハッピーエンド的な物語のアレだろ!」
ラスボス・鬼門である『神』に勝てたという事実は、彼らに大きな希望を与えた。
ここまでは、どこかで、
『結局、神様には勝てないから、最終的には、全員殺されるだけなんじゃ……』
という不安があった面々だが、
神との1打席勝負で、トウシが勝った事で、全員の心に、『まっすぐな希望』が灯った。
「いける! いけるぞ! トウシくんがいれば、俺達は生き残れる!」
「神様がなんぼのもんじゃない!」
「俺らは神話狩り! 神を殺す剣!」
と、そこで、称えられ続けているトウシが、
「まだ、わからへん……野球の勝負で勝てたからって、それがなんやねん。ガチンコで殺しあったら、神様の方が確実に強いんや。球遊びの結果でうかれんな、アホども」
辛辣な言葉を投げかけたが、
しかし、
「……まあ、でも……」
トウシは、そこで、口をモニョモニョとさせて、
「確かに勝てた……少しだけやけど、可能性は見えた……そして、それは……」
全員を見渡して、
「……お前らがおらんかったら、出来んかった事……それは……まあ、事実……やから、まあ……その…………ありがとう……いろいろ」
そう言ったトウシの姿に、裏でキュン死しかけているジュリアの向こうで、
「デレた! トウシくんがデレましたよ!」
「私達、ついにトウシくんを攻略したのね!」
「エンディグだぞ、お前ら、泣けよ!」
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