センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
53話 神狼。
53話 神狼。
「……もし、おれが、トウシくんと同じ力を持っていたとしても……おれには出来ないって思った……だから、凄いなって……ホントにカッコイイなって……」
「……」
「でも、それだけじゃダメだって思った……凄いなぁって憧れているだけじゃダメなんだよ。……今度は、おれが助けるんだ! まっすぐに! 前を向いて!」
「……」
「そのための力がいるんだ! 『助けてくれ』って叫びに応えられる力が! トウシくんの隣に立てる力が! おれじゃあ、トウシくんほどの凄いコトは絶対にできないけど! でも、バディとして、支えるくらいのことはしたいんだ! だから、おれは――」
「お前の真摯な想い、確かに聞き届けた。叶えよう。お前に力をやる」
「ほ……ほんとうに?」
「俺は嘘をつかない。ともに邪悪神モンジンをやっつけよう」
「うん!」
そこで、ここではないどこかにいる『ココロの綺麗な神センエース』は、虹宮に人差指を向けて、
「よし、では、いくぞ。ドーン!!」
不気味に笑っているセールスマンのように、闇の力を放った。
すると、
「うぁあああああああ――」
虹宮の意識がどんどん遠のいていった。
そして、
「――憑依完了……くく……ちょっろ……。『嘘をつかない』なんていうやつが、嘘をつかない訳がないだろ、ばぁか」
虹宮に憑依したセンエース(モンジン)は、
「さぁて、どいつを『もう一匹』にしようかなぁ……」
舌舐めずりをして、周囲をうかがった。
すると、そこに、
「あれ、虹宮くん、ここで、なにをしているの? トイレに行くんじゃなかった?」
同じフレア隊の椿美代が通った。
彼女の姿を確認した虹宮(モンジン)は、邪悪な笑顔を浮かべて、
「君に決めた♪」
そうつぶやいて、虹宮は、椿に指を向けて、
「はい、ドーン!」
「え?! ぁ! な、なに――」
あまりにも一瞬の出来事だった。
何も分からないまま、椿の意識がフっと消えた。
倒れそうになる椿を、虹宮は、ソっと支えて、パチンと指を鳴らす。
すると、
椿がパチっと目をさまし、
虹宮に対し、スっと、片膝をついて、頭を垂れた。
「我が神……なんなりと御命令を」
「次の命令をするまで、椿美代としておかしくない行動をしておけ」
「おおせのままに」
そう言うと、椿美代は、スタスタと講堂へと戻っていった。
その背中を見届けてから、
虹宮は、
「アダム、アナウンスを流せ。神狼(じんろう)ゲームをはじめる」
『かしこまりました』
★
虹宮が講堂に戻ってくると同時、
壇上にアダムが現れて、
「それでは、これから、二度目の課題を始める」
「二度目、はや……」
「このペースか……しんど……」
「次はなんだ? 物理か? 地理か?」
「二度目の課題は神狼ゲームだ」
「……また、ずいぶんな変化球がきたな、おい」
「じんろうか……」
「アレ、ぶっちゃけ、運ゲーだからなぁ……」
「確かに、定石知っている者同士でやると、勝敗は完全に運で決まるなぁ」
「てか、まず、ルール知らんやついる?」
「「「「「……」」」」」
「うわ、ゼロだし」
「100人近くいて、ルール知らない人一人もいないの? すごくない? ジャンケン級の浸透率じゃん」
「頭いいヤツは、絶対に人狼のルール知ってる説」
などと、ゴチャゴチャ言っている彼・彼女達に、アダムは続けて、
「貴様らの中に二人、神狼が混じっている。見つけ出さなければ、全員死ぬ。以上だ。では、がんばれ」
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