センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
37話 トウシVSジャミ。
37話 トウシVSジャミ。
圧倒的な強さを見せるトウシ。
岡葉たちとは存在の次元が違う。
――けれど、だから、
「そんなに……強いなら……どうして……」
一瞬、岡葉の頭の中に、
トウシに対する『不満・文句』が浮かんだ。
『最初から君がいれば~~』と考えてしまった。
『そうすれば、自分がこんな目にあう事はなかったのに』という『醜さ』が浮かぶ。
しかし、岡葉はバカではないから、
(選ぶはずがない……もし、あの場で、彼が立候補していたとしても……ボクはおそらく、相手にしなかった……ボクは彼を……心底から、見下していたから)
すぐに、自分の愚かさに気付く。
その惨めさは、全方位に拡散して、
そして、すぐに、一番大事なところに届く。
「どうして……」
気付けば、涙が出ていた。
優秀だからこそ、理解できた。
飛び抜けて賢いからこそ、現状に明確な疑問符を抱く。
岡葉は、ボロボロと涙を流しながら、
「……なんで……きてくれたんだ……」
心がパンパンに膨らんだ。
だから、溢れて、こぼれるんだ。
助けてくれと叫んだのは確かに自分だが、
「……君の方が……弱いのに……どうして……きてくれたんだ……」
『目の前で行われている闘い』を見て分かった。
岡葉では、トウシとジャミが繰り広げている高次戦闘を完全に理解する事はできない。
しかし、どっちが優勢でどっちが劣勢かくらいは見れば分かる。
優雅にボッコボコにされているトウシの姿を見て、ソレが分からないほどイカれちゃいない。
岡葉ほど優秀でなくとも、どっちが弱いかくらいは見れば分かる。
「君だって……分かっていたはずなのに……君じゃジャミには勝てないってこと……そうなるってこと……なのに……なんで……どうして……」
投げかけた疑問符が空気に触れて酸化する。
意味のない問いだけが世界に溶けていく。
その向こうで、
トウシは抗い続けていた。
ボコボコにされながら、
まだ砕けてはいない瞳で、
トウシはジャミを睨みつける。
(あかんな……強すぎる。最初からわかっとったコトではあるけど……こいつの強さは、バロールの比やない……ケタ違いではないけど……『格』が違う……確か、最初の自己紹介で『第一席』とか言うとったし……たぶん、こいつが、一番上……おそらく九華のリーダーなんやろ……あの鬼畜な神様が誇る最強の配下……)
バロールと闘った時に感じた圧力も相当なものだったが、
ジャミから受ける圧力は、それを超えていた。
ズギシンッと、重さの中に鋭さと軋みが混ざって、容赦なくトウシに襲いかかる。
「……これは、まともにやってたら、どんだけ頑張っても、絶対に勝てんな」
ボソっとそうつぶやくと、ジャミが、
「そんな事は最初から分かっていたはずだ」
「まあのう。けど、『明確に、どのくらい差があるか』は、実際にやってみるまで分からん。あんたくらいになったら、一目見るだけでも、相手と自分の間にある『武』の差がデジタルに分かるんかもしれんけど、ワシは、まだまだその境地には立ってへん」
「ふむ。で? 実際に闘ってみて、『絶対に勝てない』と理解できて、それでどうする? 素直に諦めるか?」
「いやいや、『勝てへんかも』って理由だけで諦めるくらい『素直』やったら最初から出てきてへん」
言いながら、トウシは、MDデバイスを取り出して、
「実際に闘ってみて、『まともにやっても絶対に勝てん』と理解できた。ここからは、そのデータを元にして戦闘計画を立てていく」
「……ほう」
「……『闇雲に頑張る』というのは性に合わん。いつだって、ワシは、ガムシャラに、泥臭く、みっともなく、『論理仕掛けの演算奴隷』で在り続ける。その気概……その狂気を……今から、あんたに、全力で見せつける」
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