センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
30話 執念。
30話 執念。
「はははははは! お前ら、この女に感謝しろ! この女はお前らの命の恩人だ! こいつは、この中でも、飛び抜けてプライドが高そうなツラをしている。そんな女が頭を下げた。そのことで、今日の俺は、そこそこ満足できた!」
黒く醜い笑顔を撒き散らし、
「実にいい! おかげで、まだ『終わりたくねぇ』と思えた。だから、今回のイベントでは、一応、邪魔はしないでおいてやる」
そう言うと、トウシの頭から足をどかして、
スタスタと、土下座をしているジュリアの目の前まで歩くと、
「なめろ」
そう言って、ジュリアの顔の前に、自分の右足を差し出す。
「ナメるフリじゃダメだ。きっちりと、丁寧に、出来る限り、エロくナメろ」
「……」
「そうだな……セリフも注文しようか。『私は貴方様の忠実なメスブタです』にしようか。さあ、気合いを入れて、エロゲーのベテラン声優ばりに頼むぜ」
ギリっと奥歯を噛む音が聞こえた。
周囲全員の耳に間違いなく届いたほどの大きな歯ぎしり。
ジュリアの肩は震えていた。
目は血走っている。
だが、それでも、ジュリアは、
「……私は貴方様の――」
命令に従おうとした。
と、そこで、
「時間だ。そろそろイベントをはじめ……ん、何をしている?」
瞬間移動してきたアダムが、
乱れた『この場』を見て、ギンと視線を強くした。
その視線の圧力に、この場にいる者全員が震えあがる。
板瀬は反射的に足を引っこめて、
「何もしていませんよ、アダムさん。ええ、もちろん、なにも」
「……ならいい。そろそろイベントをはじめる。選抜メンバーは、下のステージに来い」
そう言って、その場から姿を消すアダム。
フワっと弛緩する空気。
その直後、
板瀬は、
立ちあがってヒザのホコリをはらっているジュリアに、
「お前、S女かと思ったら、実はドMだったんだな。イベントが終わったら、じっくりと調教してやる。楽しみにしておけ」
などと言い残してから、ステージへと降りる階段へと向かった。
残されたジュリアに、とてとてと近づいてきたトウシが、
「残念やったな、途中で邪魔が入って。まあ、でも、後で調教してもらえるみたいやし、その時は、もう邪魔は入らんやろうから、そこでジックリと、新たな目覚めを堪能して――」
ふざけた事をぬかすトウシを、血走った目で睨みつけるジュリア。
そんな彼女に、トウシは、
「こっわ……もはや、ただのホラーやな」
そう呟いてから、
「……しかし、プライドの塊のお前が、よう土下座したな。驚いたわ。……昔は、イジメられても、頑として服従せず、最初から最後まで、ずっと抵抗しとったのに、今日はアッサリと頭さげたな」
「あんたを殺す権利は、あたしだけのもの。あんなカスには渡さない」
「底深い執念やなぁ……」
★
初イベントの内容は、とてもシンプルだった。
純粋に、大型モンスターの撃退。
携帯ドラゴンの強化値でいうところの180%くらいの巨大なモンスターを、7人で力を合わせて倒すという、小規模レイド戦。
選抜メンバーは、みな、それぞれ、かなり優秀な実力者だったので、
正直、このレイド戦は楽勝だった。
出現した大型モンスターは、図体に見合う膨大なHPを有していたが、
動きが遅く、かつ、ワンパターンなので、完封のペースで事は進んだ。
「この難易度だったら、マジメに闘う人員が二人もいれば勝てたかな」
「そうですね。この程度なら、私(ナツミ)と鈴木(ホウマ)さんだけでも、なんとか倒せたと思います」
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
969
-
-
441
-
-
755
-
-
125
-
-
4
-
-
1980
-
-
44
-
-
841
-
-
314
コメント