センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
25話 神の王VS中学三年生。
25話 神の王VS中学三年生。
「え、マジで言ってんでちゅか? うーわ、この男、ヤッバァ……神の王なのに、現世の中学生と、本気で闘うつもりとか……ドン引きぃ」
「やかましい。お前だって見ただろ、あいつのエゲつない天才ぶり。俺、今まで、あいつに心を折られた事を恥だと思って生きてきたけど、とんだ勘違いだったわ。折られて当然だった。凡人の身で、あんなド天才に対抗できてたまるか! 考えてもみろ。普通、第一アルファで頭脳系の天才だったら、戦闘系の資質的には中の下くらいってのが相場なのに、あいつは、戦闘面の才能でもキッチリと『キンキラ一等賞』だぞ。なんだ、あの存在からしてチートの変態は。もし、あいつと俺が同時に、異世界生活のスタートを切っていたら、確実に、あいつが神の王になってたと思う。で、俺、あいつの荷物持ちとかやってたんじゃね? で、揉み手のしすぎで、指紋がなくなってたんじゃね?」
「……卑屈になりすぎでちゅよ……まあ、でも、確かに、なかなかの異常種である事は事実でちゅけどねぇ……」
「はい、もう決めた! 俺がやる! 神の王としての力をフルで活用して、あいつをボコボコにして、この憂さを晴らす! 決定!」
「……」
「おいこら、そこのナンバーワン女神……なに、とんでもねぇ目で見てくれてんだよ。やめろ、やめろ、その目! 自殺したくなるだろ!」
「あのガキと勝負するのは別にいいんでちゅけど、やるならやるで、色々と『徹底』してくだちゃいよ。オイちゃんの弟子として……『全世界で最も尊き偉大なる神の王』として、恥ずかしくないよう、きちんと――」
「ああ、うるさい、うるさい! 言われなくても分かってるよ! 今からやろうと思っていたんだよ! そんなにうるさく言われたら、逆にやる気がなくなる!」
思春期の中学生みたいなセリフを吐いてから、
センは、
「全プログラムを変更……ここからは、タナカトウシを徹底的に鍛え上げる。限界を超えた指導体制」
そうつぶやきながら、モニターにうつるトウシを睨みつけ、
「……トウシ、これから、お前は、多くの地獄を見る。だが、その全てを乗り越えた時、お前は、俺と対峙できるだけの器を得るだろう」
やすむことなく、超速でコードを書き換えていく。
★
バロールとの闘いを経て、
トウシは、
(あの猿顔(バロール)を通して、神がハンパなくヤバいってことはよく分かった)
この世界の広さを理解した。
『絶対に☆Xが当たる裏技』という圧倒的なチートを持ってしても、そう簡単には届かない存在。
(あのバロールとかいう猿顔……本当に強かった。……正直、あのまま闘っとったら、普通に負けとったやろな……)
タイムアップがきてくれて、実は心底からホっとしていた。
トウシは、ソンキーの手ほどきを受けたことで、『武の基礎』を理解したが、
『基礎の神髄』に触れただけで完全な達人になれるほど、闘いの世界は甘くない。
『この道の神髄』は、無数に在る。
だからこそ、『極めていった神髄』の数が器になる。
(今のワシやと、神どころか、バロールにも勝てん……けど、ワシは強くなれる。さらなる最適解を求めて、レア強化アイテムを回収しまくって、その中で、武を磨いて……そんで、必ず、神を倒し、生き残ったる)
決意を新たにしたトウシ。
そこで、
チーンと音がして、エレベーターが開いた。
辿り着いた場所は6階。
6階は、それまでのフロアとは違い、
どこか、スタジアムのような造りになっていた。
エレベーターを出ると、そこは、無数の席がずらっと並ぶ観客席で、
目の前には、野球のグラウンドよりも広いステージが広がっている。
と、ちょうどそのタイミングで、
三人のMDデバイスがブルブルっと震えた。
手にとって、確認してみると、
何やら、『お知らせ』が届いていて、
その内容は、
『これより、6階、闘技場フロアにて、イベントを開始します』
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