センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
21話 100連ブンまわし。
21話 100連ブンまわし。
「アンノウン! 神様の攻撃と同じで、見えませんでした!」
「――どわ! そら、あかんな!」
一瞬で状況を理解すると、
トウシは、即座に、逃走ルートを検索する。
「そんなに急いで逃げようとするな。実を言うと、かなり退屈していたんだ。少しは相手をしてくれ」
言いながら、バロに突撃命令を出すバロール。
「きゅい!」
「きゅいっっ!」
バロの攻撃を、必死に受け止めようとしたエルメス。
一撃目は、なんとかガードしたのだが、
二発目のシッポによる攻撃は、直で当たってしまい、
「きゅぃ」
吹っ飛ばれて、悲痛の声をもらした。
「アカン、アカン! あいつの携帯ドラゴン、強すぎ!」
と、そこで、
「蜜波ハルカ!」
トウシは、後ろから、ナツミに、肩をゆすられて、
「蜜波ハルカ! 覚えましたか?!」
「な、なんやねん、急に――」
「母の名前です。クリアできたあかつきには、どうか、私の母、蜜波ハルカの病気を治してくださいと、神様にお願いしてください!」
「……」
「私が足止めします! 命がけであなたを守ります! あなたの『命の恩人』を必ず『遂行』してみせます! ですから! どうか! よろしくお願いします!!」
そう叫んでから、
ナツミは、
「ツナカン! これが最後! だから! あなたの全部をちょうだい!」
自身の携帯ドラゴンに、最後の命令を下す。
「トランスフォーム!」
ナツミが抱いていた『自信』の根拠。
携帯ドラゴンのトランスフォーム機能。
それは、携帯ドラゴンをスーツ状態にして闘えるようになる、いわゆる変身技。
ハッキリ言ってしまえば、仮○ライダーになれるスキル!
オートで闘わせている状態よりも、遥かに強大なエネルギーを捻出できるようになる最強の切札!!
トランスフォームを積めるようになる強化アイテムは、最低でも☆9以上の超レアアイテム!
しかし、彼女がログボガチャで引き当てたキャラパーツ『サイ』は、高性能なアナライズ能力だけではなく、トランスフォームも常備されている超優秀なレアアイテムだった。
ソンキーほど圧倒的ではないが、文句なしの☆X強化アイテム。
「絶対に足止めします! ですから! 絶対にクリアしてください!」
そう叫んで飛び出すナツミ。
その姿を見て、バロールは、
「いい気迫だ……」
ぼそっとそう呟いた。
直後、雑念を振り払うように、首を横に振って、
「まあ、無駄だがな……貴様程度のザコでは、どうする事も出来ない」
突撃してきたナツミの攻撃をアッサリと回避して、
「きゅいっ」
ドスンとカウンターを入れるバロ。
「ぐふっ!」
「トランスフォーム状態なら、お前自身にもダメージは入るな。……くく……一発では仕留めてやらないぞ。ジワジワとなぶり殺してやる」
「望む……ところ……必ず……時間を稼ぐ……」
その覚悟を受けて、バロールは、ほれぼれしたような顔で、
(本当に、素晴らしい気迫………ぁあ、いや――)
そこで、また首を横に振って、
「楽しいオモチャだな。しかし、いつまで持つかな」
悪役らしい声でそう言って腕を組み、余裕の静観を決める。
必死で抗っているナツミと、
そんなナツミをボコボコにしているバロ。
――その地獄絵図を見ていたトウシは、
「勝手なマネしくさって……」
ぶつぶつと、
「お前に頼らなければ何も出来ない……とでも思ってんのか……んなワケないやろ、ぼけぇ。ワシを誰やと思てんねん」
その発言に対し、ジュリアが、
「知らん。あんた、誰?」
そう問いかけてきた。
確認作業。
それは、すなわち、
自己の正式な再認識。
「タナカトウシ。ちょっとだけ天才やけど、完全陰キャでフルボッチな異常性格者。かつ、携帯ドラゴンのステランキングでナンバーワンになった男」
そう発言してから、
「裏技を使ったから……それ以外の理由はないけれども……しかし、ナンバーワンになったという事実に変わりはない。そして、その裏技は、今も使える。――なら! 結論はつまり、そういうこと!」
MDデバイスで、ガチャを選択し、
「ここまでの収益……ザコとボスを叩き潰してきた事によるMDPが全部で『30000』ほど。というわけで、さあ……100連ブン回し……いってみよかぁ」
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