センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
20話 九華。
20話 九華。
神の技も解析したのか、と聞かれたナツミは、
「はい、もちろん、解析を試みましたが……」
「が?」
「見えませんでした。この解析スキルは『一定値以上の火力』に対してはアンノウンとしか出ないので……」
「ふむ……となると、5000%以上は確定と。まあ、そらそうやろうなぁ。なんせ、相手は、シェンロンの一兆倍の力を持った神様やし。てか、一兆倍ってなんやねん。そんなもん、ギャグ漫画でしか使ったらあかん数字やぞ。ほんまにそんだけの力があったら、スーパーベ○ータが相手でも鼻息で殺せるんとちゃうか?」
渋い顔でそうつぶやいてから、
「……ちなみに、アンノウンになるラインは? 7000? それとも10000?」
「いまのところは不明。要検証の段階です」
「先の見えない暗闇。絶望の五里霧中。極まった前途多難……はぁ」
★
4階のボスまでは、トウシの携帯ドラゴン『エルメス』のワンパンで行けたが、
5階のボス戦では、
「……おっと……ワンパンでは死なんようになってきたな……」
苦戦こそしなかったが、
倒すのに『右(ワン)、左(ツー)、右(スリー)』と、3発ほど殴る必要があった。
「おいおい、まだ5階やぞ……このペースで強くなられたら、あと10階くらいで、ヤバいんとちゃうか?」
その発言に対し、ナツミが、額に汗を浮かべて、
「……も、もし、仮に、『強くなるペース』が緩やかになってきたとしても、この調子だと、『100階』が限度と言ったところでしょうか……」
そこで、ジュリアが、
「仮になんとか100階をこえられたとしても、残りは、まだ9899階……」
「……これ、最上階まで行くんはムリとちゃうかなぁ……」
と、そこで、
後ろから、
「――まあ、ムリだろうなぁ」
と、声をかけられて、三人は一斉に振り返った。
すると、そこには、
『猿顔の偉丈夫』が立っていた。
携帯ドラゴンを肩に乗せていて、
ほとばしるようなオーラを放っている、
一目で『ヤバい』と認知できる男だった。
「えと……誰すか?」
トウシの問いかけに対し、
その猿顔は優雅に答える。
「私は神の配下が一人……九華十傑の第八席。ブナッティ・バロール。一言で言えば、お前らの敵だ」
「……九華……」
そこで、トウシは、案内役であるアダムの話を思い出す。
『2階より上では、時々、『九華』と呼ばれる強者が出現する。もし倒す事が出来れば、膨大なボーナスがもらえるが、ハッキリ言って、今の貴様ら程度では絶対に勝てん。逃げる事を進める』
「――正直言って、貴様ら如きでは、私の敵たりえないのだが……主の命には逆らえないのでね」
言いながら、バロールは、
「バロ、ファイアボールだ」
自身の携帯ドラゴンに命令を下す。
命令を受けた携帯ドラゴン『バロ』は、バロールの肩からはなれ、
「きゅいっ」
と、威嚇の声を出してから、ボっと、火の弾を吐き出した。
その『火の弾』は、弧を描きながら地に落ちてきて、
「どわぁ」
トウシたちの足下に着地すると、ゴォっと火柱をあげた。
「た、楽しい挨拶をしてくれるやないか、この猿顔がぁ……」
トウシは、エルメスに命令を下し、
戦闘態勢を取らせる――が、
そこで、
「ダメです!」
ナツミが、真っ青な顔で叫んだ。
「あ? どうした?」
「さっきのファイアボール……解析したのですが……」
「……おい、まさか……」
「アンノウン! 神様の攻撃と同じで、見えませんでした!」
「――どわ! そら、あかんな!」
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