センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
19話 両手に花。
19話 両手に花。
「ちょっと見た目が小マシな女をみたら、いつもコレだ。クソが」
「いつも? はぁ? なんの話をしてんねん。ワシ、この十数年という、虫視点で言えば恐ろしく長い人生の中で、お前の以外の女と話した事なんか、数えるほどしかないぞ」
「事実なんかどうでもいい。『たまにそういう夢をみる』と言っている。そして、それがたまらなく不愉快だと言っている」
「ユメェ?! はぁ?! アホか、お前」
「夢だろうと何だろうと、あたし以外の女と喋るな、このクソ虫が」
「……ふ、ふざけた事ぬかしやがって。ほんまに、情緒がイっとんな、ワレ……」
また深い溜息をついてから、
「あの三つ編みの、『願いが叶うどうこう』に関する気合いの入り方はハンパない。まあ、そんだけ母親を助けたいっちゅうこっちゃろ。あの三つ編みの母親がどうなろうが知ったこっちゃないけど、あの徹底した気概には、充分利用価値がある。逆に、敵対する際の鬱陶しさはエゲつない。仮にあいつと闘ったら、あいつは、最後の最後までくらいついてくるやろ。そして、放っておいたら、確実に、今後、闘う事になる。なんせ、ワシは、ほぼ確実にトップをとって『願いを叶える権利』を得るからな。あの女的には絶対に放っておけん相手。わあ、めんどくさい。イヤダワー。――となれば、味方にしておくんが最も合理的」
「ごちゃごちゃ、うっさい。ぼけぇ」
「おどれが色々やかましいから、丁寧に答えたってんねやろがい!」
何度目かわからない溜息をついてから、
「……なんやねん、ほんま、ハラ立つ女やなぁ……」
心底面倒臭そうに頭をガシガシとかいていると、
ジュリアが、強い視線でトウシを睨みつけたまま、
「トウシ」
「あん?」
「あの女の相手は常にあたしがする。関わってくんな」
「……ああ、はいはい。わぁった、わぁった、好きにせぇ」
面倒臭そうに手を振ると、
そこで、ジュリアはトウシに背を向けて、
三つ編みの方まで近づき、
「あたしは、あいつと一緒に、元の世界に帰りたい。それ以外はどうでもいい。『ありとあらゆる意味』で『余計な邪魔』をしたらブチ殺す」
「……邪魔はしません。約束します」
まっすぐな目でそう言ってから、
「ぁ、申し遅れました、私、蜜波(みつなみ)ナツミと申します。この子は、ツナカンです」
「きゅいっ」
★
トウシたちの様子を中枢で観察していたセンは、
(また、変な状況になったな……トウシ、ハーレムルートか……)
ボソっと心の中で、
(つぅか、本当にムカつく野郎だ……属性は俺と同じくせに、すべてが俺の上位互換……おまけに、美人の彼女つき……)
『現状』で言えば、センエースは、すべての『ステータス』で、トウシを凌駕している。
だが、中学時代限定でいえば、タナカトウシは、すべての領域において、センエースを上回っている。
『属性』は、間違いなく同系統。
善く言えば『尖った孤高』
素直に言えば『陰キャボッチ』
しかし、トウシは、センと違い、飛び抜けた頭脳と強運を持っており、
かつ、『青春的リアル』の充実感もハンパない。
センエースの歪んだ嫉妬心が燃え上がる。
「アダム」
センが名前を呼ぶと、
「……ここに」
アダムは、即座に、出現し、センの足下で片膝をついて頭を垂れる。
そんな彼女に、センは命じる。
「それでは、そろそろ、本格的に、試練をはじめてくれ。徹底的にやっていい。というか、いっさい、手をぬくな」
「かしこまりました」
★
ナツミと共に、エレベーターに乗り込んで、『2階』に上がったトウシとジュリア。
そこは、
「……似たような感じやな……」
近くに街があって、荒野が広がっていた。
一階フロアと特に代わり映えしない光景。
「この先のプランは決まっていますか?」
その質問に対し、トウシが、サラっと、
「とりあえず、行けるところまで行く。ボスを殺して殺して殺しまくって、殺せんようになったら、ザコ狩りにシフトして金稼いでガチャ回す……かな」
と、答えたところで、
「いたっ」
背後から、蹴りを入れられた。
ふりかえると、不機嫌顔のジュリアが、
「この女の相手はあたしがするって言わなかったか?」
「普通の会話で一々、文句つけてくんな。毎回、毎回、お前を通して話をするとか、そんなめんどくさい事できるか、ぼけ」
「……ちっ」
舌打ちをしてからソッポを向くジュリアの姿を見て、
「こいつ、めんどくさいわ、ほんまぁ」
と、文句を垂れつつ、
「……はぁ……うっとうしい、ダルい、めんどくさい」
彼女の隣に並んで、
彼女の手をソっと握った。
「……さわんな、気持ち悪い」
言いながらも、トウシの手を握り返すジュリア。
「ほな、離せ、アホが」
などと言い合いながら、
ボスエリアまで、荒野を突き抜ける間、
『ザコ敵の処理』はナツミに任せて、
二人は、学校帰りのように、ブラブラと、手を繋いだまま歩いた。
その途中で、
「あ、そうや。これだけはどうしても聞きたかったことなんやけど」
と、『ザコ敵を倒しながら前に進むナツミ』の背中に声をかけるトウシ。
「なんでしょう?」
「あの時……『神が使った技』も解析したんか? ほら、あの、『ディザスター・レイ』とかいうやつ」
コメント
紅月
10話くらい連続投稿されてる俺らの運は☆Xキラかなwww
はっちょり
やば、二連続で10話くらい投稿されてる