センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
11話 それぞれの選択。
11話 それぞれの選択。
アダムがツラツラと述べた後半の言葉は、蜜波ミナミの耳には入っていなかった。
彼女が重視している情報は一つだけ。
「……最初の一人だけ……」
「たったの一人だけとはいえ、偉大なる神の祝福をたまわる事が出来るのだ。その事に感謝し――」
「感謝しています。『どんな願いでも叶うチャンス』を頂けた事……神様に、心から感謝します」
「……ならばいい」
「もうひとつ質問させてください。このゲームにおけるフレンドリィファイア(味方に対する攻撃)の有無をお聞かせください?」
「普通に有りだ。狂人プレイがしたければ、今すぐにでも暴れるといい」
「狂人プレイをする気はありません。質問に答えていただき、感謝します」
そう言うと、ナツミは、アダムに背を向けて、
同年代の少年・少女たちの顔をみながら、
「申し訳ありませんが、私は一人で闘います。私には、どうしても叶えたい願いがあるので」
その発言を受けて、
岡葉が、
「ちなみに、その願いって?」
「母の病気を治してもらいます。現代医学では絶対に治せない病気……しかし、『ベジータをも倒す事ができる神様』なら、余裕でしょう」
「……なるほどね。立派な理由だ。もし、なんだったら、お手伝いしようか? ボクは生きて帰りたいだけだから。それに、よくみたら、君はすごくかわいいし――」
「結構です」
「おっと……即答だね。ちなみに、断る理由は?」
「私は、人の『醜さ』をよく理解しているからです」
「……『なんでも願いがかなう権利』を前にすれば、確実に裏切られて横取りされるだろうから、仲間はいらない……ってことかな?」
「そのとおりです」
「一つ聞いていい? 逆にボクを利用して、横から、かすめ盗ってやろうとかは思わなかったの?」
「はい、一ミリも」
「それは……あれかな? そういうので助けられてもお母さんは喜ばないからとか?」
「母が助かるのであれば、私はなんでもしますよ。強盗でも殺人でも。母がどう思うかどうかなんてどうでもいい。もう一度、元気な姿を見せてくれるのなら、私はなんでもします」
「良い覚悟だね。けど、それなら、余計に疑問が大きくなる。どうして――」
「私は、おそらく、この中で一番強い。あなたがたは足手まといにしかならない。それが理由です」
「ハッキリ言うね。ところで、ソロプレイ宣言は危険だと思わない? 確かに、見たところ、今の段階では、君が一番強いけど……もし、チームを組まれて、そいつらがプレイヤーキルをしようとしたら、なかなか大変だと思うけど。それに、今はまだまだ序盤だから、報酬でもらった無料10連の結果でも色々と違いが出て――」
「私は、今の時点でも、すでに、とびっきりの切札を持っています。言っておきますが、私は、最初のガチャで、かなり良質な強化アイテムを引いています。あなたたちの無料10連の結果がどうなるか知りませんが、ちょっとやそっとの強運では、私には勝てませんよ。私も、このあとで、10連を引いて戦力を整えますしね……私を殺そうとする時は、相討ちを覚悟で向かってきてください。数の不利で、こちらが絶対に負けるという状況になっても、確実に一人は道連れにします」
岡葉「……こわいね。君が引いたのは、もしかして、メガンテ的な技なのかな?」
蜜波「さあ。どうでしょう。切札をバラしはしません」
そこで、薄く笑ってから、
蜜波「ちなみに言っておきますが、私は、死に物狂いでクリアを目指します。もし『生きて帰りたい』という、それだけが目的ならば、私の邪魔にはならないよう気をつける事をオススメしますよ。私を生かして暴れさせておいた方が、『あなた方が生き残れる確率』は間違いなく高い。――それでは、失礼します」
そう言って、三つ編みの美少女は、独りでさっさと荒野へ向かっていった。
コメント