センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

18話 じゃあな、蝉原。


 18話 じゃあな、蝉原。

 絶死のアリア・ギアスで、真なる宇宙一のヤクザとなった蝉原は、

「さあ、センくん! 俺に殺されてくれ! もうここまで来たら、同時に終わるのがいいな! 君を殺すと同時に俺も死ぬ! 最高のフィナーレじゃないか!」

「――お前の自殺を黙って見ている気はない。時間がお前を殺すよりもはやく、俺がお前を終わらせる。そして、俺は、俺の中に残っているお前を殺す! 折れてしまった苦い過去! 逃げ出してしまった『かつて』! くだらない重荷を皆殺しにして、俺は一歩先へ行く!!」

 さらに加速する二人の闘い。

 暴走する暴力の嵐。

 絶死のアリア・ギアスを積んだ蝉原は、
 ゴートの存在値を追いぬいて、
 見えない高みにまで昇り詰めていた。

 ゴートでは絶対に勝てない強さ。
 5分も耐えられない!
 逃げる事もできない!
 殺されるしかない!


 そんな絶望の中で、
 絶対的な狂気の底で、

 ゴートは、

「今の俺じゃあ、お前には勝てない。この絶望……前の俺だったら、きっと諦めていた。お前の狂気にあてられて、ポッキリと心をヘシ折られていただろう……俺は、これまでに、二度、お前に砕かれた。『俺達の故郷が終わったあの日』と『ついさっき』の二回」

 事実を並べて、自覚・自認していく。
 だからこそ見えてくる真理は――

「……『今のお前』は『かつて俺を砕いた二度の絶望』よりも遥かに重たい絶望だ。そいつが、今まさに、俺を押しつぶそうとしている……」

 『現実』の底で、
 けれど、ゴートは、

「しかし、まったくもって折れる気がしねぇ。俺の心は、むしろ、熱くたぎっている。……どうやら、俺は、リーンと一緒だと、どんな困難を前にしても諦めずにいられるらしい」

 加速する暴力を抱えて、
 ゴートは、


「……俺は、ただの弱い命……何者でもないチッポケなカケラ……」


 言葉に飲み込まれぬように、

「しかし、だからこそ、叫べる勇気を……」

 砕けてしまわぬように!

「全部をなくして! けれど! 確かに残っていた、この想いを! かき抱いて! 俺は、最後の最後まで、お前に抗い続ける! 俺の全部でぇええええ! お前という地獄を超えてやるっっっ!」

 そして、叫ぶ!!



「俺はゴート・ラムド・セノワール! 『運命を殺す狂気の具現』っっ!!」



 『彼』以外の誰にもマネすることはできない、そのゲージを貫いた強大な意志が、
 世界の芯を震わせて、
 そのまま、『莫大な可能性』となり、『彼』のコアオーラに注ぎ込まれる。

 それは、『劇的なキッカケ』となり、
 ゴートという、まだまだ『未完成な個』を、
 一つの『境地』へと導く。

 『諦めてしまった』という『クソ以下の過去』をむしろ『糧(かて)』にして、
 ケタ違いに膨大な魂を奪い、
 心底から大事だと想える人を守りながら、
 『存在値の最果て』という『極端な地獄』で命を晒し続けた結果、
 ゴートは、自力で、己の中に眠る可能性をこじ開けた!

 全スペックの爆発的上昇!
 結果、ゴートのコアオーラに革新が起こる!!


 『世界』が!
 『ゴートは??????である』と認めた!!







   ***原初の記憶***

      ――おわらねぇ、おわってやらねぇ――
       ――俺は、かならず『??』を守る――
        ――100回やってダメだったなら――
         ――次は1000回挑戦するだけだ――

   ――気概だけは素晴らしいね、『??????』。
   ――けど、1000回やって、それでも、ダメだったら?

         ――その時は――
           ――当たり前のように――
            ――『1001回目』に挑戦してやるよ――

     *** ***







 『数』を超越した先に辿り着くゴート。
 その力は、『絶死を纏う蝉原』をも超えていた。

 その果てしない姿を目の当たりにした蝉原は、


「……もしかして……俺は……負けるのか……」

 乾いた声で、ボソっと、

「それは……想定していなかったなぁ……前と同じで、結局、俺が勝つと思っていた……」


「ナメんじゃねぇぞ、蝉原……お前ごときが、俺に勝てる訳ねぇだろ」

「……そっかぁ……」

 燃え尽きる前の、最後の輝きに包まれている蝉原は、そこで、ボソっと、

「時間切れで終了は嫌だ……せめて、最後は……美しく……」

「時間切れで勝ち逃げはさせねぇ……ちゃんと、この手で終わらせる。俺の黒歴史、俺の因縁、俺の中に根付く亡霊……」

「……さよなら、閃壱番(せんえーす)。君は最高に美しかった」

「じゃあな、蝉原勇吾。お前は最高に鬱陶しかった」

「……誇らしいね」

 その言葉を最後に、蝉原は、ゴートが放った異次元砲に包まれていった。

 全てを飲み込むその一撃の中で、
 蝉原の外殻はカケラも残さずに消滅した。

 そして、蝉原の魂魄と1万のGバグは、高密度の粒子となり、
 ゴートの中へと溶けていったのだった。


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