センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
7話 テスト。
7話 テスト。
「――ラムドアイズは、間違いなく最強のラムドカード。別格の切札。まあ、とはいえ、スリーピース・カースソルジャーよりは弱いけど。……『スリーピース・カースソルジャー、どんだけ強いんだよ』って感じだよな。『ラムドアイズ』と『カースソルジャー』も、見たいっていうなら見せてやってもいいぜ。どうする?」
「……いい」
「あん? 聞こえねぇ」
「もういい……服従する……」
「口の利き方がなっていない。死にたくないなら、タメ口きくな。俺はお前の同僚でも友人でもない。立場をわきまえろ」
叱られたガイリューは、一度、グっと強く奥歯をかみしめてから、
両目を閉じて、力を抜き、
「……俺は……これから……どうなる……のですか?」
力なく、そう尋ねてきたガイリューに、
ラムドは言う。
「これから、世界はまとまっていく。お前は、そのための歯車になる。お前だけじゃなく、俺も含めた全員がな」
と、ラムドがそう言った時、
「……素晴らしい……」
この空間の隅に、突如、スゥっと、細身のダークエルフが出現した。
そのダークエルフは、恭しく頭を下げて、
「お初にお目にかかります。ラムド様。わたくし、妖精の都で代表をしております。ショデヒと申します」
急に現れたその『招かれざる客』に対し、
ラムドは、特に感情を見せず、
たんたんと、
「……ん、で?」
そう尋ねると、
ショデヒは、ニっと微笑み、
「あまり驚かれてはいない御様子。もしや、私が隠れていた事に気付かれておいでで?」
「ああ。最初からな」
その発言を受けて、
ショデヒは、大げさに、
「な、なんとっ! ……流石でございます、ラムド様!」
驚いてみせてから、しゅくしゅくと、
「まさか、屋根裏に隠れていた時から発見されていたとは……」
と、そう言ったところで、
ラムドは、面倒臭そうに溜息をついて、
「俺を試すな、鬱陶しい」
――そこで、はじめて、
「……っ」
ショデヒは『本当に驚いた顔』をしてみせた。
そんなショデヒに、ラムドは言う。
「俺は、『お前が今朝からずっと、俺を監視していた事に気付いていた』と言ったんだ。お前の子分が周囲に五人ほど隠れているのも知っている。他にもいくつか知っている事はあるが、全部言っていくか?」
少し強めのオーラで威圧するラムド。
そんなシッカリめの圧力を受けたショデヒは、
「……ラムド様……あなた様は今……私が『あなた様を試すかどうか』を……試されましたね」
額に重たい汗を浮かべてそうつぶやくショデヒに、
ラムドは、あっけらかんとした顔で、
「だったら?」
そう尋ねると、
ショデヒは、ニコっと微笑んで、
「完璧でございます。私の上に立つ御方に相応しい」
「あ、そ。で? そろそろ本題に入れ」
「私は、妖精の都を、完全に掌握しております。私の決断が、妖精の都の総意だとご理解いただきたく」
「知っている。で?」
そこで、ショデヒは、スっと片膝をついて、
「わたくしを、ラムド様の配下の一人に加えていただきたく存じます」
頭を下げてそう言ったショデヒに、ゴートは、まるで、最初から決めていたかのように、
「条件がある」
そう言うと、ショデヒは、待っていましたとばかりに、
「なんなりと」
と即答する。
「鬼の里を、限りなく無傷に近い状態で魔王国の下につけてこい。補佐としてガイリューを連れていく事を許可する」
その命令に対し、
「かしこまりました」
自信満々の笑みで即答し、
「すぐにカタをつけてまいります」
そう言うと、ショデヒはスっと立ち上がり、
「さあ、いきますよ、ガイリュー」
言われて、ガイリューは、
「……ぁあ」
力なくそう返事をして、ショデヒの後ろについていった。
もはや、色々と諦めた顔をしていたガイリュー。
時代の変化に戸惑いを覚えながらも、
しかし、どこかで、ガイリューは、
『面白くなりそうだ』とも感じていた。
どう変わっていくのか、まだ分からないが、しかし、
『ラムドを中心に変わっていく世界で踊るのも楽しいかもしれない』と、
そんな事を思ったガイリューだった。
★
――ショデヒとガイリューの二人が鬼の里に向かった、
と、ちょうどその時、
「テプ0時を過ぎたよぉ」
また、チートタイムが訪れる。
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