センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
32話 1億の俺。
32話 1億の俺。
(仮に、2号が、1号の戦闘力データを引き継いでいて……Pセルみたいに、俺にやられたことによって、究極超神化7になった俺のデータまで学習し、さらなるパワーアップをしていて、その上で、携帯ドラゴンが、俺のセーブデータ級の力を持っていたとしたら……あ、ヤバいな……)
P2の厄介さを思い描き、辟易するセン。
(悠長にしていられないかもしれない……一刻もはやく、このMDワールドの『中枢』を制圧する必要がある……)
決意すると、センは、シューリとアダムを引き連れて、カジノを後にし、
「さて、本格的に、このゲームを攻略することにしようか」
そう呟いてから、
近くの荒野で、
「……分身ランク1700」
超々々々高位の魔法を使った。
その瞬間が、
その場に、センの分身が大量に出現した。
「めっちゃいるんでちゅけど……これ、いったい、何人に分身したんでちゅか?」
「全部で1億だ。どうせだから、限界にチャレンジしてみた。携帯ドラゴンの使用権はコピーできなかったし、流石にこの数のコントロールはできないから、完全オート型で、かつ、戦闘力も存在値もカスみたいなものだが、移動系や探索系のスキルだけは使える特殊仕様」
1億のセンで埋め尽くされた荒野。
圧巻の光景。
「これだけいれば、短時間で、世界中をくまなく探しつくせるはずだ。さあ、1億の俺よ、この世界を丸裸にしてやれ!」
意気揚々と指示を出すセン。
しかし、
1億の分身たちは、
「「「「「「「俺ごときが、俺に命令してんじゃねぇ」」」」」」」
と、センの命令を断固として拒否!
分身たちは続けて、堂々と、
「「「「「「「たかが【今の俺】より強い程度で、調子に乗るなよ、本体!」」」」」」」
自分の分身の頑(かたくな)さを目の当たりにしたセンは、
「……」
心底から鬱陶しそうな顔で天を仰ぐ。
分身たちは、とどまることを知らず、続けて、
「「「「「「「俺は、俺より強い程度のザコに負けるほど弱くはない。お前ごときに傅(かしず)くほど、俺は――」」」」」」」
「うるせぇ、はやくいけ!」
ブチ切れて叫ぶセン。
神気を込めたオーラを出して、分身たちを威圧するものの、
「「「「「「「「……」」」」」」」
分身たちは、一切ひるむことなく、
むしろ、瞳の炎にガソリンでも投入したかのように、
グワっと燃え盛る視線をぶつけてくる。
ほとばしる『やるならやったるぞ』感。
存在値10くらいしかないのに、このうっとうしさ!
さすがは、センエース!
(うっぜぇえええええ)
センは、心の中で叫んでから、
(あー、もー)
頭をガシガシとかいてから、
スっと腰を曲げて、
「……いってください! おねがいしますっっ!!」
半ギレの声で、しかし、キチンとお願いした結果、
「「「「「「しゃーねぇなぁ」」」」」」
センのお願いを受けて、1億のセンは一斉に、バーっと八方に飛び散っていった。
「うっっぜぇなぁ……センエースってうぜぇなぁ……なあ、お前らもそう思わねぇ? あいつ、ちょっと、調子に乗ってるよな? どうする? いっかい、シメるか? ガーンといったるか?」
そんなセンの言葉に対し、
純粋にオロオロと困っているアダムと、
面倒臭そうな顔をしているシューリ。
シューリは、センの言葉を完全にシカトして、
「最初から分身探索を使っていれば、1000MDP分のアイテムを回収するのも一瞬だったんじゃないでちゅか?」
そう言うと、
センは、
シレっと、
「あたりまえだろ」
などとふざけた言葉を返してきた。
そんなセンに、シューリは、ガチでイラっとした顔をしながら、
「じゃあ――」
と、文句を言おうとしたシューリの言葉を遮って、センは言う。
「言っただろ。最初はゲームを楽しむって……けど、今は、ちょっと本気で『攻略』する気になっているから、自重は一切しない」
「カジノでオイちゃんを使っておいて、今までは、自重しているつもりだったんでちゅか?」
「……本音で言えば、あの探索は、ちょっとお前らと街をブラブラしてみたかったんだよ」
その発言を受けて、シューリとアダムは、同時に、顔を赤くした。
センの不意打ちに、動揺している二人を尻目に、
(ん……)
そこで、センは、意識を、『分身セン89976778号』に向ける。
(……妙な次元裂? 場所は……その『洞窟の前にある毒沼』か? ……ああ、確かに感じる……うん、あるな、隠しルート。次元の断層でふたをしてあるが、間違いなく……)
センはニっと笑い、
(そこがデバッグルームへの入り口だ。こじあけろ……無理か? いや、いい。よく見つけた。後は俺がやる……)
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