センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

28話 倍プッシュ。


 28話 倍プッシュ。


 アダムは、神の美しさに見とれていた。
 センが勝つ方に賭けていたアダムは、3525倍勝ちという圧倒的な大勝利を得て、
 およそ3億CMDPという、膨大な大金を得た――が、
 そんな事は心底からどうでもよかった。

 神の美しさを、これほど近くで見る事が出来た。
 それ以上の喜びなどあるはずがなかった。

「ぁあ、主上様……貴方様の美しさは……いつまでも、どこまでも……とどまることを知らない無上の極光……」

 恍惚の表情で、爆発的な愉悦をかみしめ、脳汁の海につかるアダム。

 そんなアダムの視線の先で、
 センは言う。

「さて、倍プッシュだ。狂気の沙汰ほど面白い。すでに3億稼いだが、俺はまだまだ自重せず、もう一歩、先へいく」

 狂気の宣言。
 留まる事を知らないセンに、
 カジノ側のAI部分が言う。



『エクストラチャンスタイム、発生! 【あなたの戦闘データをコピーした分身】と闘える権利を得ました! いかがいたしますか?』
「いいねぇ。ぜひ、やらせてもらう」



『闘えるコピーの数を選んでください。数が多ければ多いほど、たくさんの報酬を得る事ができます』
「じゃあ、1万だ」


『……はい? もうしわけございません。聞きとれませんでした。もう一度お願いします』
「俺が望む敵は……『俺10000人』だ」


『……』


 処理するのに少し時間をかけてから、
 しかし、


『――確認いたします。本当に、10000体でよろしいですか?』


「よろしいですとも」


『了解しました。ステージを変更します』

 カジノ側のAI部分が、センの狂気を承諾した瞬間、
 ステージがグワっと広がっていく。
 再構築された世界は、だだっぴろい枯れた荒野。
 そして、その荒野に、
 『センの戦闘データを元に作成されたコピー』がキッチリ10000体分、出現した。



「賭け金の倍率は……『200万倍』か……ん、まあ、そんなところだろ。本音を言わせてもらえるなら、『俺を1万体も飛ばした報酬』なんだから、『17兆倍』くらいあってもいいとは思うが……まあ、ワガママは言わないさ」



 カーンと響く、鐘(かね)の音が聞こえた。
 戦闘開始の合図。

 その号令を受けて、1万体のコピーセンは、一気に、センへと襲いかかった。
 センの戦闘データをコピーしただけあって、おそろしく俊敏で剛腕。
 『修羅道の最果て』に辿り着いた強者。
 そんなのが、一万体。

 絶望するしかない、その極悪な暴風の中で、
 センは、


「まさか、『さっき見せた、ほんの数分』をコピーしただけで、俺の『全部』に勝てるなんて思ってないよな? 俺の200億1万年は、決して『数分で表現できるお遊戯』じゃないんだよ」


 襲いかかってくる自分のコピーを、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ、
 まるで、ス○ブラの100人組手のように、ドッカン、ドッカンと豪速かつ豪快に吹っ飛ばしていく。

「……『プログラムの出来』が悪い。さっきの数分すら、再現しきれていない。1万もいれば、そこそこ派手な闘いになるだろうと思ったが……期待外れもいいところ。この程度なら、100億体いても相手にならない」

 センの一手は常に『最善』の向こう側。
 対する、コピーセンは、まるで不出来なマリオネット。
 間違いなく『領域外に在る力』だが、しかし、その程度で究極超神センエースは止められない。

「お人形遊びは趣味じゃねぇ。お前らを使っても、カッコいい所は見せられねぇ」

 そこで、センはギアを上げた。
 加速していく根源的な『強さ』。

「楽勝過ぎて眠い! これで「賭け金倍率200万倍」はもらいすぎだな。いやぁ、申し訳ないねぇ」

 もはや、誰にも止められない。
 美しさの終着点。
 『神の王』が魅せる武の極み。

 ――結果、
 センは、パガロを倒した時よりも圧倒的に速く、1万のコピーを全滅させたのだった。


『エクセレント!』


 カジノのAIはセンを絶賛してから、


『コピー1万体撃破という偉業を称(たた)え、特別報酬を贈呈します!』

 ファンファーレとともに、

『特別報酬は【☆XX】の強化パーツ【アルテマ・トランスフォーム】です!』

 そこで、センの手の中に、プラチナ色に輝くチップが出現した。
 最高ランク『☆X』を超える『☆XX』という究極を超えたレアアイテム。
 ――『アルテマ・トランスフォーム』。


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