センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
3話 配布される、携帯ドラゴンの卵。
3話 配布される、携帯ドラゴンの卵。
全員がまんべんなく戸惑っていると、
「これから、君達一人一人に、『携帯ドラゴン』の卵を渡すから、受け取ってね」
ナビゴンが小さな指でパチンと音をならすと、
受験生たちの手の中に、小さな卵が出現した。
センは、手に入れた卵を、ほとんど反射的に魔法で解析しようとしたが、
(なんも見えねぇ……)
完全な情報規制がかけられている『その卵』は、
センの手の中に出現してから、数秒もしないうちに、ピキピキと音をたてて、
「きゅいっ!」
と、元気な『子猫サイズの龍』が産まれてきた。
割れた殻は、手の中でもぞもぞと動き、
(うわ、キモ……)
スマホ型のマジックアイテムになった。
(手のりサイズの龍と、スマホ……世界観が急に崩れたな……)
てのひらサイズのその小さな龍は、背に生えているかわいらしい『小さな翼』でヒョイと飛び上がると、センの胸の中にとびこんできて、
「きゅい、きゅいっ!!」
と、ハチャメチャになついてきた。
(完全に携帯ドラゴン……『ガキの頃にやっていたスマホゲー』と『同じ世界観の試験』とは……また、妙な展開になってき――つぅか、すげぇ懐くな、こいつっ)
『全員そうなのかな』と思いながら、周囲を見渡してみたが、
他の連中の龍は、特にそうでもなかった。
だいたいの龍は、『なんだかわからない』というキョトン顔をしているばかり。
いかにも『産まれたてっ』といった感じの態度の龍ばかりだった。
(俺の携帯ドラゴンだけ、妙にアクティブ……)
などといった感想を抱きつつ、手の中のスマホ型マジックアイテムを操作する。
どうやら、所有しているだけで、簡単な使い方が頭の中にインストールされるタイプらしく、操作に困る事は何もなかった。
(これで強化していく感じか……ステの確認でも出来るようだな……ステ確認がアイテム頼りとか……なんか、懐かしいな……)
000000000000000000000000000000000000000
登録名 『??』
型番 『IS=GPQC/タイプD95775‐GX9』
《強化値》 【1%】
《容量》 【200】
[HP] 【1%】
[MP] 【1%】
「攻撃力」 【2%】
「魔法攻撃力」 【1%】
「防御力」 【1%】
「魔法防御力」 【1%】
「敏捷性」 【1%】
「耐性値」 【1%】
111111111111111111111111111111111111111
(完全な初期モデル……ちょっと期待していたんだが、どうやら、俺がやっていたスマホゲーのデータが使えるとかではないようだな……)
などと思っていると、
そこで、ナビゴンが、
「さあ、まずは、みなさん、ご自身の携帯ドラゴンに名前をつけてあげてください!」
何が何だか分からないまま、
しかし、みな、とりあえず、
言われた通りに、携帯ドラゴンへ名前をつけていく。
当然、センも、
「名前ねぇ。この携帯ドラゴンには名前をつけられるのか……ふぅん……スマホゲー版とは若干ちがうんだな……」
※ 携帯ドラゴンというスマホゲーでは、最初にマスターの名前は登録するが、携帯ドラゴン自体に名前をつける事はなかった。心の中で勝手に名前をつけている者は大勢いたけど。もっといえば『携帯ドラゴンに対して名前をつけるシステムをつけてほしい』というリクエストは、運営に山ほど届いていた。だが、頑として、携帯ドラゴンに名前をつけるシステムは採用されなかった。
その理由は――
「じゃあ……モンジンで」
と、センが、テキトーに『愛用している偽名(ゲームをする時は、たいがい、モンジン。スマホ版の携帯ドラゴンの時のマスターネームもモンジンだった)』をつけようとしたところ、携帯ドラゴンは、センに対して、くるっと背中を向けた。
そして、携帯ドラゴンの背中からペカーっと表示されるエアウィンドウに、
『その名前は使用できません』
という表示が出た。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
57
-
-
1359
-
-
6
-
-
267
-
-
32
-
-
337
-
-
140
-
-
0
-
-
40
コメント