センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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39話 仮面ラ○ダーモバイルドラゴン、見参。


 39話 仮面ラ○ダーモバイルドラゴン、見参。



「体、軽っ!」



 死を覚悟したカルシィたちの目の前に、
 龍をモチーフにした全身スーツを着用しているピーツが飛んできて、
 古龍の照射をその身に受けた。

 ガガガガガガっと『強大なエネルギーを受け止める音』が森中に響き渡る。

 だが、爆音の割に、ピーツは微動だにせず、

「はい、余裕の無傷。すっげ……」

 衝撃波はあったが、損傷も痛みも皆無だった。
 圧倒的な防御力。
 そして、羽のように軽やかな体。
 なによりも、この湧き上がってくる絶大なパワー。


「いやぁ……まさか、仮面ライ○ーになれる日がくるとは思っていなかったな。さしずめ、今の俺は、仮面ラ○ダー機龍か……いいねぇ……『いつまでも無くしたくない少年心』が歓喜の声をあげている」


 古龍の一撃を受けていながら、ピンピンしているピーツ。
 その姿を見て、古龍は、

「――ば、バカな……我のブレスを受けて、無傷だと……そんな生命など存在するはずがない……――」

 冷や汗を流して瞠目する。
 気付けば体が震えていた。

 ドラゴンスーツを着ているピーツから発せられているオーラは、尋常ではなかった。
 そのあまりの力に、古龍は、ブルブルと戦慄する。

「――か、感じる……絶大な……捕食者のオーラ……な、なんだ、その力は……そんな力がこの世に存在していいわけ……――」


 古龍のわななきを見ながら、
 ピーツは、

「うん、俺も同意見だよ。この力はチートすぎる」

 などと言いながら、
 そこで、
 チラっと、カルシィたちに視線を向けた。

 ピーツの力を目の当たりにして、呆けている彼女達。
 そんな彼女達をみながら、
 ――ピーツは思う。


(実際のところ、ピーツって存在は、自殺に追い込まれている……俺は『そっち系』じゃないんで、豆腐メンタルの心境を完全に理解する事は出来ないが、まあ、でも、そこまで至ってしまった気持ちも……まったく分からないってワケじゃない)


 分不相応な場所で、まったくついていけず、
 心折られ、周りからはバカにされ、

(――そんな俺に、理由はともかく『とりあえず生きろ』と言ってきたヤツは、俺が知る限り、カルシィただ一人だけだった。……『成績表を売ってもらわないと困る』とか、ほんと、ワケの分からない理由だったが……ははっ)

 はじめてカルシィと会話をしたあの時、ピーツは、食事をする場所が見つからず、立ちつくして、まわりから笑われた。
 そんな、ただただ困っていたピーツに、『隣に座って一緒に食べればいい』と言ってくれた。

(教師もクラスメイトも、全員が自殺を勧めてくる中で、カルシィだけは、『金をやるから生きろ』と俺に言った。金貨五枚……冒険者試験を受けられる金額だ。今の俺の状況だと、自力で貯めるのは、なかなか厳しい額……)



 『生きる道は、他にもある』と、言ってもらえたような気がした。



 ――もし、いろいろな事情等で学校をやめるのが厳しいようなら、その金でコッソリと冒険者試験を受けてみるという手もあるんじゃないか?
 ――この学校は間違いなく世界最高学府。今年は無理だろうが、この厳しい学校で、1~2年ほど頑張れば、『二次試験を突破する力』を身につける事くらい、不可能じゃない。
 ――君が、いま立っているソコは、決して、落とし穴だらけの暗闇なんかじゃない。


 ……そう言ってもらえたような気がした。



(……今日だって、わざわざ、俺を守ろうとしていたな……迷惑だったよ、色々と、本当に……)



 心の中で、ぶつぶつとそう言ってから、

「けど、まあ……うん、アレだ……うん」

 などと、まったく『意味のある言葉』にはなっていないセリフを口に出してから、
 右手を古龍に向けて、膨大な魔力を注ぎこんでいく。

 右腕が光り輝き、ビリビリと電流を放出しだす。
 まだまだ膨れあがっていく力。

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