センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

18話 命の尊さ。


 18話 命の尊さ。


「殺せ、殺せ。笑って死んでやるよ。……ははっ……この死に方は、かなり豪華だから、あの世で自慢できそうだ。『トラックに轢かれました』って最後より、よっぽど華がある」

 そう言ったピーツに、
 亜サイゾーは、



「うーむ……簡単なミッションだと思っていたが、案外難しいな」



 小さくボソっとそう言った。

「これだけ煽っても、『最低限の基礎動作』しか確認できない……これではダメだ。死を受け入れるようでは話にならない」

「あん? なに言ってんだ?」

 ピーツの疑問をシカトして、

「どうやら、『自分の命が危ない』というだけでは覚醒しないようだな……となれば……」

「はぁ? 覚醒? ……いや、俺はサイヤ人とのハーフじゃねぇんだから、そう簡単に、金髪にはなれねぇよ」

「うむ……では……たとえば、『扉の外にいるマヌケを殺してやろうか』と脅せばどうかな」

 などと言われて、
 ピーツは眉をひそめ、

「いや、あの……お前が何をしたがっているのか、さっぱり分からないから、どうとも言えないが……とりあえず『あんなクズデブがどうなろうと知ったことか』とだけ言っておく」

「だろうなぁ……」

 頷いてから、

「では、仕方がない。こうしよう」

 そこで、亜サイゾーは、
 右手を上に向ける。

 すると、その手に、

「……すー……すー」

 と、眠っている小さな赤子が出現した。
 産まれて半年も経っていないであろうピカピカの新生児。

 手に赤子を乗せている亜サイゾーは、
 なんの感情もない声で、事務的に

「テキトーに周囲を探してみつけた。『我が子が急にいなくなった事に気付いた母親』が、ずいぶんと錯乱しているな……その映像だ、見ろ」

 空間に映し出されたモニターに『慌てて周囲を探しまわっている母親の姿』がうつった。

 その映像と赤子を交互に見てから、ピーツは、

「何がしたいんだよ……お前……」

 そう尋ねた。
 すると、
 亜サイゾーは、
 またもや、なんの感情もこもっていない声で、
 たんたんと、

「今から、この『矮小な命』をひねりつぶす」

 などと、ふざけた事を口にした。

「具体的に言うと、頭を掴み、ゆっくりとしめつけていく。顔と頭の筋肉が裂け、頭蓋骨が砕け、脳が飛び散る。そのサマを、貴様に見せつける」

「……ギャグだよな。もしくはドッキリだよな?」

「必ずやる。言っておくが、これは、冗談でも演出でもない。この小さな命は、今から、私の手によってグチャグチャに砕かれる。そこに嘘は微塵もない。貴様が救わなければ、この命は終わる。必要な犠牲として処理する」

 そう言われて、
 ピーツは、
 フラットな顔になって、

「……あっそ……」

 と、気の入ってない声で、

「まあ、仕方ないね……弱者の命はいつだって、強者によって奪われる。弱者ってのは、いつだって、そういう世界に産まれた事を恨んで死ぬしかない。それがこの世の定めだ。まあ、今のところ、その弱者のカテゴリーに俺も入っているから、俺は、『そのガキを助ける』なんて高尚なマネはできず、ただただ『後を追うしかない』ってのが非常に残念なポイントだ。まあ、あの世で謝罪させてもらうよ。ていうか、いまのうちに、とりあえず、謝っておこうか。ごめん、ごめん、お兄さんも、君と同じで弱者だから、君を助ける事はできなかったよ。残念、無念。俺を恨んでくれてもいいけど、ただ、立場が逆だったらってことも少しは考えてもらいたいところだね。君なら、俺を救えたかい? そうじゃないなら、俺だけに責任を押し付けるべきでは――」

 マシンガントークに精を出すピーツに、
 亜サイゾーは言う。

「全力で時間を稼ぎ、必死に方法を考えている……というのが、手に取るように分かる。あまりにみっともない姿だ」



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