センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

12話 孵化。


 12話 孵化。


 卵が割れて、中から、



「きゅいっ!」



 と、かわいらしい鳴き声を出す小さな龍が出現した。
 手乗りサイズで二頭身の愛らしい龍。
 モッフモフの子猫を凌駕する可愛さ。


 その『手乗りサイズのドラゴン』は、背中から生やしている小さな翼をパタパタさせて宙を舞うと、ピーツの頭の上にポスンと着地して、猫のようにクルンとまるまり、

「すーすー」

 と、寝始めた。


「……どうなってんだよ……」

 謎の状況に戸惑っていると、さらに、

「ん?」

 割れた殻が、手の中でもぞもぞと動いていた。

「うわ、きもっ」

 うごめいている殻は、やがて、長方形のてのひらサイズになって、実体化していき、
 そして、

「……スマ……ホ……?」

 ほぼ完全なスマホになった。
 ※ これは『MDデバイス』と呼ばれる、『携帯ドラゴンのマスター専用』の特殊なマジックアイテム。

 ピーツは、眉間にしわを寄せながらも、
 そのスマホ(MDデバイス)の画面をススっといじってみる。
 すると、
 メニューには、アプリが一つだけあって、

「……携帯ドラゴン……」

 一つだけ表示されるソフトウェア。
 それは、『携帯ドラゴン』という名称のアプリだった。

 実は、ピーツは、そのアプリのことを、

「携帯ドラゴンって……あの、携帯ドラゴンか……?」

 良く知っていた。

 携帯ドラゴン。
 それは、センエースが第一アルファで唯一ハマった携帯ゲームだった。

 課金こそしなかったが、かなりノメり込んで、
 ずいぶんな長期間、石を溜めて、盛大にガチャをまわし、
 そして、豪快に爆死して引退したという黒い歴史をもつスマホゲー。

 ピーツは、頭部で寝ている小さな龍の首裏を、
 まるで猫のようにつまんで、目の前まで持ってきて、まじまじと見て、


「確かに……初期状態の携帯ドラゴンっぽいけど……」


「くぁあ~」


 と、小さく愛らしくアクビをする携帯ドラゴン。

 ピーツは、その子を、とりあえず、いったん、頭の上に戻してから、
 MDデバイス(スマホ型のマジックアイテム)のアプリ内容を確認する。
 だいたいは、スマホゲーの時と同じで、

「ここで、所有している携帯ドラゴンのステータスを確認できます……と。ほぼ同じだな」

 ステータス確認を選択してみると、



000000000000000000000000000000000000000

 登録名 『??』
 型番  『IS=GPQC/タイプD95775‐GX9』

 《強化値》    【1%】
 《容量》     【200】

 [HP]     【1%】
 [MP]     【1%】

 「攻撃力」    【2%】
 「魔法攻撃力」  【1%】
 「防御力」    【1%】
 「魔法防御力」  【1%】
 「敏捷性」    【1%】
 「耐性値」    【1%】


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 ステータスを確認したピーツは、

「……見事に初期能力。……『俺がやっていたセーブデータが適用される』とかではないんだな。『スマホゲーのセーブデータが異世界でも適用される系』のネット小説は多いから、少し期待したんだが……」

 ピーツの頭で寝ている携帯ドラゴンは、何も出来ない完全初期状態。
 ゲーム開始直後の能力。

「まあ、初期状態でも充分に強いという可能性もなくはないが……というか、こいつは、戦闘で使える系のアレなのか? それすらも今のところはサッパリだな……」

 ステ確認以外にも、いろいろとアプリをさわってみるピーツ。

「どうやら、ガチャも使えるみたいだが……どうやってポイントを得ればいいんだ?」

 『MDP』という『石(ポイント)』を溜めると回せるのだが、
 そのポイントの取得の方法がさっぱりわからない。
 このアプリは、本来のスマホゲーと違い、
 スマホ内でゲームプレイというのは出来なかった。

 現状だと、『ステ確認』と『ガチャがまわせる』という二つの機能しかない。


「課金か? 課金しかない感じか? よーし、じゃあ、コンビニでアイチ〇ーンカードを……って、コンビニなんかあってたまるか、ボケ! 異世界ナメんな!」




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