センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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95話 闘ってあげない。


 95話 闘ってあげない。

 そこから、しばらくは、簡素な応酬が続いた。
 ただ、ひたすらに殴り合う。

 ――いや、殴り合ってはいなかった。
 シューリは一発も殴られていないから。

「動きが遅すぎてアクビしかでまちぇん。もっと頑張ってくだちゃいよ」

 P型センエース1号の動きは決して遅くはない。
 ゼノリカの天上が圧倒された『その力』は、絶大で豪速。

 けれど、シューリには届かない。
 『最強神の師』を名乗る女神の力は伊達じゃない

 P型センエース1号は、

「――うぼげっ!」

 殴りかかっても、カウンターをくらう。

「くぬ!」

 タックルしようとしても、いなされる。

「ぅごほっ!」

 蹴ろうとしても、避けられて膝をいれられる。

 戦闘になどなっていなかった。
 ただ、あしらわれる。
 さばかれて、ポカンとシバかれる。

 そんなP型センエース1号の様子を、アダムは冷めた目で見つめていた。
 『もしシューリがヤバそうだったら助けろ』と命令を受けてここにきたアダムだったが、
 今の彼女は、後方で壁にもたれかかり、腕を組んで、のんびりとアクビをしていた。

 シューリの実力を知っているアダムからすれば、
 この展開は予想がついていたというより、目に見えていた。

(その程度の腕前で、よくもまあ、『主上様になる』などという不相応がすぎる大言壮語を口に出来たな。何億、何兆、何京年という時をかけようと、貴様ごときが主上様の領域に届くことはありえない)

 凍える瞳で、P型センエース1号を見下すアダム。

 アダムの耳には、ヒョイヒョイという擬音が聞こえていた。

 シューリは、終始圧倒的だった。
 P型センエース1号は、汗一つかいていないシューリから、
 気楽に、ポンポンと殴られて、
 サクっと痛めつけられて、
 で、最後には、キュっと首をひねられて、


「――ぁっ――」


 ――あっさりと死んだ。
 なんの抵抗もできなかった。
 大人と赤子。
 それ以上の差が、二人の間にはあった。


 シューリにあっさりと殺されたP型センエース1号は、
 また、同じように、淡い光に包まれて、


「ちくしょう!」


 当然のように復活して、

「くそが! やっぱ、強ぇえええ! くそ!」

 と、元気に叫んだ。
 その様子を見て、シューリがボソっと、


「おやおや、まーた、存在値が上がりまちたねぇ……」


 鬱陶しそうにそう言ってから、

「こりゃ、確かに危険な存在でちゅね」

 認識を少しだけ改めて、
 シューリは、瞬間移動で距離をつめる。

「強くなるトリガーは『死んで蘇る事』だけじゃなく、『強い者と闘うこと』でも強くなる……でちたっけ? なら、闘ってあげまちぇ~ん」

 言いながら、シューリは、人差指に神気を込めて、
 ススっと、ゆるやかに、P型センエースの首裏をなぞった。

 直後、スリュっと、何かがズレる音がして、
 気付いた時には、P型の頭部が細切れになって吹っ飛んでいた。

 吹きだす鮮血。
 しかし、そんなものに当たって汚れるシューリじゃない。
 すでに、適切な距離を確保しており、そこで、退屈そうに髪の端をイジイジしていた。

 すぐに、P型センエース1号の体は淡い光に包まれて、


「ぶはっ……はぁっ」


 蘇る。
 完全な状態で復活。
 深く息を吸って、吐いて……

 そんなP型センエース1号に、
 シューリは、

「しばらくは、指でなぞるだけで殺しまちゅ。これなら、オイちゃんから『武を学ぶこと』は出来まちぇんよねぇ。さて、オイちゃんと『まともに闘えるようになるまで』に、いったい、あんたは、何回死ぬんでちょうかねぇ」


コメント

  • キャベツ太郎

    流石シューリって熟思うね♪
    圧倒的に他の超越者達とは違う。
    神闘然り経験然り頭脳然りやっぱ、最強っすわww

    1
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