センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

82話 胸に抱いているもの。


 82話 胸に抱いているもの。


「俺は、お前の面倒を背負っていない……だから、その分、俺はセンエースよりも軽い。重りがないぶん、はやく動ける。それだけなんだよ」


「そういうのを『重りがない』とは言わない。『薄っぺらい』という」

「はっ。視点の問題でしかねぇな。あるいは、しょうもない言葉遊び。つまりは、議論する価値がない愚題。もう、お前と喋るの飽きた。そろそろ、本気で終わらせる」

 全力でオーラを練り上げて、まとわりついてくるミシャの邪を払うと、

「見せてやるよ、本物の絶望を。『全ての絶望』を絶望させた『眩し過ぎる光』でお前の全てを飲み込んでやる」

 両手にオーラを集中させる。
 周囲の次元断層を飲み込むほどのエネルギーが収束していく。
 膨れ上がっていく。
 膨張は止まらない。
 円を描く絶望。
 弧の中心で、エネルギーが渦をまく。

「神気の扱い方の上手い下手でも、異次元砲の威力は変わる。当たり前の話。で、俺は既に、お前よりも、遥かにうまく神気を扱える……ここまで言えば、あとは分かるな?」

 実際、P型センエース1号のオーラコントロールは、ミシャを遥かに超えていた。
 圧倒的に濃密な異次元砲を練り上げていくP1。
 間違いなく、ミシャでは対応しきれない強大なエネルギー。

 それを見て、
 ミシャは、


「私は、心底から、自分という女を誇りに思う。これほどの絶望下においても、私の心は少しも折れていない! なぜか! 決まっている! この上なく偉大な神を胸に抱いているからだ!」


 そこで、ミシャは、
 動けなくなっている全員に向けて、


「きさまら! その程度の呪縛で折れてんじゃねぇええ! 思い出せ! きさまらの胸にいるのは誰だ!」


 ミシャの叫びで、みなの心に熱がともった。
 まだ、間違いなく残っている炎。
 神を抱いている者の光。

「この程度で折れるなぁあ! ゼノリカを名乗る事の意味を思い出せ!」

 炎が再燃したのは、周囲の者だけではない。
 己の叫びに呼応して、ミシャのオーラが膨れ上がっていく。
 積み重ねてきた全てが、『P型センエース1号』という『キッカケ』をえて、相互にガッチリとかみあっていく。
 絡み合って、強固になっていく。

 そんなミシャの様子を見て、
 P型センエース1号は、不愉快気に顔をゆがめて、

「っ?! おいおい、なに、気合いだけでコアオーラを増量させてんだ。『叫ぶだけでオーラが増える』っていう、そのギャグは、俺(センエース)だけの専売特許。無断使用してんじゃねぇ」

 そう言うと、P型センエース1号は、両手に集中させたオーラをミシャに向けて、

「ミシャンド/ラ……お前はちょっと目ざわりが過ぎるな……もったいないが、コアだけ残して、『器』は破壊させてもらう」

 スウッと息を吸って、


「異次元砲ぉ!!」


 強大なエネルギーの照射。
 既にボロボロのミシャでは受け止められない威力。
 それを前にして、
 しかし、
 それでも、
 ミシャは!



「異次元砲ぉおおおお!!」



 迷わずに撃った。
 波動が世界に干渉する。
 多次元に不良再生性の傷跡を残しながら、
 深き衝撃は、ぶつかり合う線の向こうで、無情な波となる。

 バチバチと、空間を裂くような音が響いて、
 互いの照射が押し引きをしている。
 あまりに膨大なエネルギーのぶつかりあいは、
 当然のように、周囲の断層に亀裂をつくる。


 P型センエース1号は、絶対の自信があった異次元砲を受け止められて、
 普通にムっとしていた。

 イラつきを飲み込んで、
 異次元砲へ注いでいる魔力やオーラをさらに増大させながら、

「……おいおい、どこに隠してたんだよ、その魔力……」


コメント

  • キャベツ太郎

    ミシャ、やりますねーw
    センとの関わりが長いだけありますね♪
    でも、やっぱり負けちゃうんだろーなー(;o;)
    センも早く気づいてあげてほしかったwまぁ、演技に夢中だから仕方ないか

    8
コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品