センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
52話 救援要請。
52話 救援要請。
真っ青な顔で瞬間移動をした彼女を見送る事なく、パメラノは、視線はバロールにうつす。
その目には、少し血が走っていた。
明確な怒りが滲んでいる。
空気が、さらにピリつく。
「バロール、家族と近しい関係であろうとするのは結構じゃが、時と場合を考えんかい。もし、百済からの要請が、『一刻一秒を争う、救いを求める声』だったとしたら、どうするんじゃ。ぬしらが遊んでいる間に、取り返しのつかない被害がでたら? その時の責任が、ぬしごときに取れるのか?」
「……申し訳ありません。いえ、ただ、あの、本当に、もしアレだったらついていこうかと思っただけで……私は、まだ『禁域』というのが、どういうものか、イマイチ分かっていませんが、『特別』だというのは理解していますので、そこに現れた『壊れた怪物』は、警戒すべきだと……カティは強いですが、一撃をくらってしまうとアレなところもありますし、で、その……」
そこで、サトロワスが、
「はっはー、ようするに心配だったって事だよねぇ。わかる、わかる。ねぇ、パメさん、バロールの気持ち、わかりましたよね?」
かぶすように、テリーヌが、
「バロールは、決して、ゼノリカの規律に刃向おうとしたワケではありません。どうか許してやっていただけませんか? このバカには、やれば出来る子の可能性がまだあるんです」
パメラノとバロールの間に入るようにしてそう言った。
二人の発言を受けて、パメラノはゆっくりと目を閉じて黙った。
この話は終わりという合図。
ホっと弛緩する空気。
そこで、第七席の『ディマイズ・マリス』が、バロールの肩にポンと手を置いて、
「……叱られて、兄貴と姉貴にかばわれて……お前、びっくりするくらいダサいな」
ボソっと小さな声でそう言った。
バロールは、真っ赤になって、ギリギリと奥歯をかみしめた。
マリスは、マイペースで無口な男だが、自己中型マイペースではなく気配り型マイペースなので、こういう時は、率先して場を整える役を買って出る。
先の発言、一見すると、空気が読めていない鬼発言だが、実は、一歩先に踏み込んだ気配りが込められていた。
バロールの『みっともない現状』をあえて的確に『言語化』することで、『放置すれば、バロールの中で残ってしまう粘着性を持つ気まずさ』を散らしたのだ。
バロールは、マリスの助け船に乗ろうと、
『てめぇ、あとでツラかせや』の一言をぶっこんで、悪い流れを終わらた。
どうにか空気が弛緩する。
どうにか戻った場の流れ。
穏やかに過ぎていく時間。
ただ、カティが出動してから、数分が経過したところで、
全員の胸に、
((((((……カティ、ぜんぜん、帰ってこないな……))))))
という、疑問がわきあがってくる。
バロールが、少し心配そうな顔になり、
(……なにか、あったのか?)
と、そう思った、ちょうどその時、
通信魔法が入って、
『バロール! このバケモノ、バカみたいに強い! 手ぇ、貸して!』
その瞬間、バロールは、
「――すぐに行く」
瞬時に頭のスイッチを切り変え、星典魔皇としての顔になり、瞬間移動で救援に向かう。
その一連を見て、
パメラノが、
「サトロワス、テリーヌ、マリス……念のため、ぬしらも行け」
「「「はっ」」」
瞬間移動で消えた三人を見ながら、それまで黙っていたアルキントゥが、
「九華が一度に五人も出動するなんて、今まで一度もなかったことですわね。流石に過剰戦力ではありませんか?」
「だといいんじゃがのう……どうにも、今日は、朝から胸騒ぎがするんじゃ」
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