センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
50話 ねじまがった誤解。
50話 ねじまがった誤解。
――カティは思う。
(おそらく、ジャミは、自分が『超次』に辿り着いた経験を、私達にも理解しやすいストーリーにして伝えようとしているんだろう)
誤解と呼ぶには、あまりにも『筋が通りすぎている思考ライン(カティの中では)』に支配されるカティ。
(きっと、ジャミは、『自らの悟り』・『天啓』を、私達にも、どうにか伝えようと、『神という概念』を用いてイメージ化・具体化させようとしている……けど、脚色に熱が入り過ぎていて、逆に入ってこない……)
カティは、ジャミが語る『神話』を、『武が開花した事』の『たとえ話』だと理解した。
ジャミは、仮面武道会で、『たまたま』、『超次のステージ』に辿り着いた。
圧倒的な才覚を持つジャミが、たまたま辿り着いた高次世界。
その道程を、ジャミは、他の九華の面々にも伝えようと、『物語』を創った。
――これが、カティの思考ライン。
(普通に、新しい世界に辿り着いたって言ってくれた方が、素直にすごいと思えるのに、無理に『さすが神様』を追加してくるから、なんだか、ワケわかんなくなっちゃうんだよなぁ……それじゃあ、むしろ、イメージしにくいって……)
カティだけでなく、『まだ神に触れていない』という意味で彼女と同じ九華の第七席『ディマイズ・マリス』も、似たような結論を抱いていた。
(……神様ねぇ……いるなら、会ってみたいと思わなくもないが……まあ、いないだろうなぁ)
今回の件で、カティとマリスの疑念は、さらに深まった。
あまりにも、ジャミが、神を『美化しすぎる(ほぼ事実を語ったが、ちょこっと盛った部分がなくもない)』ので、カティもマリスも、『いや、そんなモンいるわけねぇ。話、つくり過ぎ』という常識をベースとした結論に着地してしまった。
カティとマリス以外の、『神に触れた事がある者達』は、
一応、『本当にあった事なのだろう』と理解しているが、
『かなり脚色されているのだろう』という解釈に関しては同じだった。
九華の第三席サトロワスは思う。
(主は、おそらく、本当に、ジャミを開く手助けをしてくださったのだろう……ジャミがあまりに美化しすぎるから、具体的に、主がジャミに何をしたのか、いまいちよく分からないけれど、まあ、すでに開きかけていたジャミの蕾に、『主の影』か何かが、キッカケをおあたえになったのだろうねぇ……)
神種を開く方法など知らないので、何をしたのか、キチンと理解できる者はいない。
かつ、ジャミが、感情の赴くままに、『事実』を語るので、誰も、そのままは信用しなかった。
神の伝説は、いつだって、『真実』を語ろうとすればするほど歪んでかすむ。
その疑念は、いつしか、いびつにい変形していき、
ちょっとした時間経過を経て、ついには、
サトロワス、アルキントゥ、テリーヌという、神に触れた経験のある者たちまで、
(((((そもそも、神など、やはり存在しないのでは?)))))
という懐疑に辿り着く。
サトロワス。アルキントゥ。テリーヌが辿り着いた解答は、次のようになる。
(((ジャミが辿り着いた領域は、『壁』を超えた先……『壁の超え方』を知っているのは、今のところ、私が知る限りでは、三至のみ。おそらく、三至は、極限を超えた先で、壁の超え方を理解した)))
彼らの中で、最も高みにあるのは三至天帝。
絶対的な力を持ち、合理を遵守する、理想の支配者。
『神帝陛下という概念』の『最も有力だった説』は、三至天帝を合わせた別称。
(((三至の方々は、それを実行なさったのでは? 神帝陛下という偶像を具現化させようと、壁を超えた力を結集させ、高次元のオーラドールを創造した)))
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