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39話 ジャミとバロールの魂は、常に、神と共にある。

 39話 ジャミとバロールの魂は、常に、神と共にある。

 聖典を自分の手で完璧なものにしようか――などと、一瞬、考えはしたものの、
 しかし、バロールは、すぐに首を横にふって、

(いや、書き切れる気がしないな……きっと、おそらく、先人も、今の私と『同じような苦悩』を抱えながら書いたのだろう……今ならば、その苦しみが理解できる……主の耀きを書物になど、起こせようはずもなし。あの導き……この私を引っ張り上げた、あの光……)

 ――バロールは『届かなかった』が、しかし、彼の『中』に『神の教え』は根付いた。
 『道』はできた。
 『扉の開き方』はわかった。
 となれば、もはや時間の問題だった。

 バロールは思う。

(見えてはきている。まだ遠いが、遠すぎはしない)

 バロールが神になるためには、もうひとつ、大きなキッカケが必要。
 それは事実だが、しかし、逆に言えば、バロールは『そこまで』は、辿り着く事ができたのだ。

(私も、はやく辿りつきたい……あの果てなき輝きの御側に、少しでも近づきたい……少しでも強くなって、その御役にたちたい……私の全ては、この上なく尊い神のためにある……)

 辿り着いた滅私。
 豊かになった心。
 魂が神で満ちた。

 全てが輝いて見える。
 理解に届いた。
 命の使い方。
 全てが、神のため。

 圧倒的な幸福。
 高次の至福。

 ジャミとバロールの魂は、常に神と共にある。

 ――これらが、もし『実在しない神に対する想い』だったとしたら、ただのヤバい二人だが、彼らの魂を満たした神は実在する。

 『この世の全てを照らしてくれた命の王』は、彼らの『上』に、
 ――間違いなく存在するのだ。

 彼らの『上』にいるのは、『生命の祈り』を無視する神じゃない。
 『正しい世界が欲しい』という、『歪みを持たない者』が常にその胸に抱いている、純粋で無垢で、けれど、そのぶん『難易度が高い』――そんなクッソ重たい願いを、しかし、ガチでキチンと完璧に叶えてくれた至高の神。

 『正しさとはなんぞや』などという、永遠に答えの出ない『言葉遊び』・『禅問答』に溺れて悩むような、そんな下らないマネでお茶を濁すこともなく、ただひたすらに、かたっぱしから、不条理と不合理を殺し続けた神。

 どんな絶望を前にしても、勇気を叫び続けた命の王。
 『生命の最前線』という『地獄の底』で、
 誰よりもボロボロになって闘い続けた最強の神。
 ――この上なく尊い、神の王。

 ジャミが言う。


「あの美しさに、私は一歩……ほんの一歩だが、近づく事ができた。これまで弛まずに積み重ねてきたから届いた……私は自分が誇らしい」



 『遠き場所』に辿り着いたジャミ。
 恍惚の表情で神を語るジャミ。

 ――そんなジャミに対し、九華の第九席『レミングウェイ・カティ』は、
 三至の方々に対するモノと同等かそれ以上の敬意を抱いた。

 『辿り着いたジャミ』の美しさは、最果てに辿り着いているようにしか思えなかった。
 限界を超えて、超えて、超えた、先の先の先。
 カティからすれば、ジャミこそが神だった。

 絶対にして最強の神。
 三至でも、今のジャミには勝てないだろうと思う。

 しかし……というか、だからこそ、

(何度聞いても、嘘臭いなぁ……)

 と思ってしまう。
 カティからすれば、『最強の神』であるジャミを、
 導いて、開いて、その上で、赤子扱いしたという、あまりにも超越的すぎる存在。

 ――そんなもの、いるはずがない。
 『当たり前の常識』が、カティを盲目にする。

 ジャミが語る神は、あまりにも壮大かつ神々しすぎて、信用する事など到底できなかった。

 これは、もはや、仕方がない話だった。
 ここまでくると、カティが悪いとは言えない。
 神は、あまりにも偉大すぎる。
 その威光の強度は、直接触れた者にしか伝わらない。
 それだけの話なのだ。

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