センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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38話 真のセンエースに、俺はなる!


 38話 真のセンエースに、俺はなる!


 『百済に属している者』に対して、『百済に属している者達』が思う事は、いつだって、非常にシンプル。
 あくまでも、あくまでも、『大好きな同じ会社』でたまたま一緒に働いている同僚。
 それだけ。
 それ以上でも、それ以下でもない。

 だが、ゆえに、『大好きな会社』に損害を出すやつの事は許さない。
 『IR3がやられた』という点に関しては、IR3の実力不足が原因という、個々の問題なので、なんとも思わない。
 いや、何とも思わないという事はない。
 『この程度の仕事くらい、サクっとこなしやがれ、ザコが』
 『努力不足』
 『ゼノリカを背負っているという自覚が足りない』
 とは思う。
 だが、そこまで。
 心配など、絶対にしない。
 百済は仲良し集団ではない。
 必要とあらば、『同僚だろうが上司だろうが関係なく無慈悲に処理する闇人形』の集団。

 だから、『IR3がやられた』という事に対しては怒っていない。
 ――ただ、『ゼノリカに属している者にキバを向けた』という点に関しては許せない。
 絶対に許さない。

「情報回収用に、脳だけ残して、それ以外はバラバラコースで」
「認識」
「火力担当は『UV6』一人で充分でしょ。私は、援護にまわるわ」

「別に構わない。『I5』もサポートにまわってくれ。あのカスを確実に殺す。それだけが今現状の全てだ。それさえ出来れば、それ以外はどうでもいい」
「了承。これより、粘帯滞(ねんたい)性の抹殺を開始する」
「普通の抹殺でいいでしょ。なんで、わざわざネバっこく殺す必要があるのよ」

「気がすまないからだろ」
「まさしく。UV6にデバフ系のアタックサポートを積みまくって、暴れさせて、苦しめて、苦しめて、殺す」
「感情だしすぎ。ふさわしくない。……事もないか。どこか、ある意味で、『私たち(百済)』らしい」

 この三人、のんきな会話をしているように見えて、実はバリバリにキレていた。
 ゼノリカにキバを向いた者に対する百済の怒りは底しれない。

 そんな三人の様子を黙って見ていたP型センエース1号は、

「いい殺意だ……それでいい……」

 舌なめずりをしながら、

「ここを乗り越えれば、俺はさらなる俺になれる。……お前らの武を学習すれば、『天上』の連中にも勝てるようになるだろう」

 すぅう、はぁああ、と深呼吸をはさんで、

「……全部飲み込んで、『果て』まで辿り着く。そして、必ず、センエースを殺す! そして! 俺が! 真のセンエースになるんだ!」



 ★



 『合同訓練(バトロワ)』直後で、瞑想休憩中の九華の面々は、穏やかに談笑をしていた。
 ここ最近のトレンドは、もっぱら、ジャミとバロールが受けた、『神の手ほどき』について。

 ジャミが、天を仰いで、恍惚の表情で言う。


「――そして、主は仰った。『汝(なんじ)の魂魄は、革命を望んでいる。受け止めてしんぜよう。さあ、くるがよい』と。その尊き御言葉が、『限界という名の壁際』で停滞していた私を開いたのだ」


 果てなき高次の指導。
 それによって開かれたジャミの華。

 何度話しても、飽き足らない。
 なんどでも、心が沸きあがる神の輝き、その無上なる尊さ。

「主は美しかった。途方もなく美しかった。無上の美。果てなき耀き。『この世の全て』に辿りつかれた命の神。あれほどの美しさを、私は他に知らない」

 ジャミがそう言うと、バロールも深く頷いた。
 二人の心を埋め尽くしている神の光。

(神の偉大さなど、言葉では分かるはずがない。触れなければ、あの『輝きの重さ』は理解できない。聖典には、そこが――距離が足りない。『神の遠さ』が書き切れていない。こうなったら、私が書くべきか……)




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