センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
33話 動き出す裏面。
33話 動き出す裏面。
今回の試験では、『対 謎の箱』や『対 ゼノリカ』における『駒の選別と強化』がメインの目的。
そして、二次以降では、選定しつつ、強化を施していく予定なので、武の才能を持つ者以外を残す訳にはいかない。
天国最奥の宝物殿『全てを閉じ込めた場所』におさめられている『冒険者試験でしか使えないアイテム』は、どれも異常なほど強力で、特に、二次試験で使われる予定のアイテムは、禁忌級!
受験生を大幅に強化できる『とんでもない宝』。
――なのだが、『そのアイテムを使用できる数』には限りがある。
というわけで、その『希少で強力なアイテム』に『耐えられる者』か否かの選別は厳格に行う必要があった。
フーマーでも最高位格のメービーが、一次の試験官に選ばれたのは、それが理由。
と、そこで、メービーの話を聞いたセンが、心の中でつぶやく。
(……俺には才能というものはない。だから、『根源的な武の才能のみで判断する』というのであれば、落ちてもおかしくはない)
センエースは天才じゃない。
『武の才能』の質だけでいうなら、ゼノリカに属する全員に負けている。
というか、センより武の才能を持っていない者を探す方が大変なくらい。
(だが、それなら、ゼンとシグレも落ちるはずなんだが……落ちたのは俺だけ……キナくさいねぇ……誰かが何かをしているのは確実……さて、その理由はなにかしら、っと)
センが心の中でそんな事を考えていると、メービーが続けて、
「……頑張れ」
「……?」
「頑張り抜け、177番。ぬしには、二次を受ける資格がある。じゃから、私の一次試験……見事、乗り越えてみせよ」
「……ぇ……ぁ……はぁ……はい」
★
センが、心のこもっていない返事をしていた、その頃、
『禁域』で、とてつもない異変が起きていた。
『深層への扉』付近で、歪な黒い電流を放出している次元裂が開いたのだ。
そして、その次元裂の奥から、
[…………kssi75622vusduosi33divhoviknsklniohishklvnslkdsba55665sksksl9988kfh]
一人の青年が這い出てきた。
十七歳くらいに見える黒髪の青年。
その青年は、
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高速で口を動かして、何かを発している。
聞き取れる速度でも言葉でもない。
ただ、その以上に速い喋る速度は、次第に遅くなっていって、
[utuh55567nvvdnas112212clasbcla999jbajalnc記憶データ、登録……」
ついには、言葉を発する。
「人格……インストール完了……P型センエースエンジン、起動……」
その青年は、周囲を見渡しながら、
「……最適化、完了……いや、まだだ……最適化にはもう少しかかる。人間性……まだ薄い……もう少し……もう少し……出来た。完成だ。俺は俺になった……あめんぼ赤いな、あいうえお。――『俺は正義の味方じゃない』『実にテンプレだねぇ』『ヒーロー見参!』……くく……おっけー、おっけー、何がおっけーか知らんけど。……うん、いい感じだ」
ボソっとそう言うと、クビをコキコキっとならして、腕をまわしながら、
「……おっと……いきなりの熱反応、感知。お客さんだな……この反応……ゼノリカの天下、インフラレッド003。最初の相手としては、実にちょうどいい……」
そう呟いた直後、
「――何者だ。貴様は、いったい、どこから現れた。目的は?」
背後から声をかけられて、青年は、ゆっくりと振り返る。
銃器を構えている、青年と同い年くらいに見える少女が立っていた。
彼女は、ゼノリカの天下、百済を染める闇の一つ、コードネームはインフラレッド003。
全部で100人(全員が巨大な裏組織のトップ)が在籍している『百済』の中で、下から数えて10番目。
UV1を『序列1位』だとすれば、IR3は『序列90位』の地位に属する者(IR3も当然、大きな裏組織のトップ。つまりは、闇に巣食うバケモノ)。
――『IR3の役割』は『禁域の監視』だった。
彼女だけの役割ではなく、時間制の交代制で、
禁域は、常に『何か変化がないか』と、ゼノリカの面々によって見張られていたのだ。
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