センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
66話 超魔王ウルトラバイオレット・ゼロゼロナイン。
66話 超魔王ウルトラバイオレット・ゼロゼロナイン。
「こっちだ! 走れ! 迷うな!」
そう言って、走り出すモナルッポ。
急な展開に混乱している三人だったが『ここでモタモタしていても良い事などない』という事くらいは分かるので、この場はとりあえず、素直に、モナルッポの後を追いかける。
全力ダッシュの途中で、
「王子! 簡単にでいいから、事情を説明してほしいのだけれど」
セレーナの呼びかけに、モナルッポは、苦い顔を浮かべて、
「……俺も、お前らと同じように、ここへ潜入してボコボコにやられた」
それを聞いたパルシュが、
「さっきのアンドロメダとかいうジジイにやられたのか?」
「いや、さっきの化け物も相当強そうだったが、超魔王は、もっと上だ」
「超魔王……」
「レイモンドを支配している超魔王軍ゼノリカの頂点、超魔王ウルトラバイオレット・ゼロゼロナイン」
そこで、セレーナが小さく「超魔王軍……ゼノリカ……」とつぶやいた。
ようやく、ゼノリカという言葉の意味を理解する。
そして、そのあまりのドス黒さに辟易する。
「ウルトラバイオレットの強さは異常だ。勇者が可愛く思えるバケモノの中の化け物。俺はあいつに、なんの抵抗もできずに敗れ、ついさっきまで捕まっていたんだが、色々あって、たまたま脱出出来てな……」
その辺の詳細は長くなるので割愛。
一応、軽く解説すると、アンドロメダの同僚であるルプスとライラが、茶番をしかけて、モナルッポを脱出させた。
ちなみに、その茶番とは、『モナルッポを食いたがっている魔人』と『それを止めようとする役』に分かれて、モナルッポが投獄されている牢屋に押し入り、そこで、
『やめろ』『邪魔するな』
のケンカの果てに相討ちし、鍵を奪われてやるという寸劇。
「逃げ出すついでに、何か情報を奪ってやろうと、あちこち探し回った結果、この『マシンゴーレムが使えるようになる指輪』と、やつらの『計画書』を奪う事に成功した」
「計画書……レイモンドは、何をするつもりなの?」
セレーナの問いかけに、モナルッポは、ギリっと奥歯をかみしめながら言う。
「人類補完計画」
「……そ、それは、いったい……」
「さぁな。抽象的な言葉が多すぎて理解はできなかった。だが、ハッキリと分かる事は一つ。やつらは、『この世界に存在する生命』を、一匹残らず『自分達を高次生命に押し上げるための生贄』にしようとしているってこと」
絶句する三人。
モナルッポは続けて、
「ウルトラバイオレットは狂っている。俺はこの目で見た。というより、目の前で見させられたんだ……やつが……子供や赤子で凄惨な実験をしているところを。必死に助けを求める小さな子供を……あいつらは、笑いながらすりつぶしていた。何の罪もない赤子を、握りつぶして殺すところを……それを目の前で見ていながら、俺は何も出来なかった……黙って見ているしか……」
「「「……」」」
何と言っていいか分からない、そんな顔をしている三人に、
モナルッポは、
「超魔王ウルトラバイオレット・ゼロゼロナインは人間の心を持っていない。高次生命に――『神になる』という誇大妄想にとりつかれ、邪神に魂を売った本物の外道。やつとは……やつらとは闘うしかない。そのためには、ラムドの力が必要だ」
「ラムド? どういう……」
「どうやら、ラムドの覚醒は、まだ始まったばかりらしい。勇者をたやすく撃退したほどの超越的な力を手にしていながら、まだまだ発展途上という異質な才能。その才能を、ゼノリカは、手に入れたがっている」
「手に入れたがっている……ということは、まだラムドは……」
「そうだ。ラムドは、まだ、ギリギリだが、人類側だ」
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