センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
55話 お前のコアオーラは、
55話 お前のコアオーラは、
(こんな、ほんの数分闘っただけで……ここまで強くなれるなど……あるわけがない! あっていいわけがない!)
ダイエットを例にしよう。
100キロの巨漢が、『丸一日食べるをやめて、朝から晩まで、膝が潰れるほど歩き続く』という無茶をしたとしよう。
そうすれば、まあ、たった一日でも『最大10キロくらい』は痩せられる可能性がある。
だが、既にキレッキレに仕上げているボクサーが、いくら努力をしたところで、一日で痩せられる量は『10グラム~20グラム』が精々。
ジャミの『現状における成長率』は、後者にあてはめる事ができる。
これまでに、散々頑張ってきて、『これ以上を目指すなら、気が遠くなる時間と努力が必要』という領域に辿り着いた。
最近は、『セン印の訓練施設』でトレーニングをするようになったため、存在値は、ガンガン上がるようになったし、戦闘力も、それまでとは比較にならない速度で上がるようになった。
しかし、それでも、これほどまでの成長速度ではなかった。
このペースで強くなっていくのは、さすがに異常がすぎる。
おかしい。
ありえない。
(ありえない。こんな事が出来る者などいるはずがない。もし、こんなことが出来る者がいるとしたら、その可能性があるのは……)
遥か高次の薫陶(くんとう)。
『これほどの、とてつもない奇跡』を起こしたとしても不思議ではない存在。
「……『教義』や『既存の理念』ってのは非常に重要だ。それが『ブチ壊すための的』だと理解できていればの話だが」
ジャミの中で、一柱だけ心当たりはある。
しかし、
(それこそ、ありえない! 神が、このような――)
――ズンッッ!
と、モンジンの拳が、ジャミの腹部を捕らえた。
相変わらず『痛み』はない。
だが、響いた。
重く、深く。
モンジンが、ジャミの目をジっと見て、言う。
「お前のコアオーラは、革命を望んでいる」
その声は、ジャミの全てを包み込む。
まるで光。
数多の世界を照らす、とてもとても大きな――
「特別に、受け止めてやるよ」
そう言って、モンジンは、ゆったりと大きく構える。
全てをさらっていくような泰然。
ジャミとバロールは息をのんだ。
目の前に立つ男が、
あまりにも大きすぎて。
「さあ、くるがいい」
そのあまりの威圧感にあてられて、バロールは、ガクンと、崩れるように膝をついた。
心が痙攣している。
そんなバロールと違い、ジャミは倒れない。
倒れる訳にはいかないと心が叫んでいた。
ジャミは沸騰する。
身の奥から込みあがってくる。
オーラも魔力も、容易く、一点に集中していく。
無の境地。
まだまだ遠いと思っていた世界が見えた気がした。
ジャミの中で、トビラが開く音が確かに聞こえた!
「ぉぉ、ぉおおお、ぉおおおおおおおおおっっ!!」
膨れ上がる沸騰に身を任せ、ジャミは踏み込む。
言葉にならない想い、その叫びを拳に乗せた。
拳に翼が生えた気がした。
パリンと割れる音がした。
限界という名の壁を、ダイナミックにブチ破る音――
「――嫉妬に値する才覚だ」
ジャミの耳を、光の声が、ふるわせる。
そして、だから、加速する肢体。
踏みしめる。
ジャミは辿り着いた。
――ここは、神の領域。
「ようこそ、俺たちの世界へ。歓迎しよう」
その声が、ジャミの耳に届くよりもはやく、
モンジンは虚空に円を描いた。
導かれるように、ジャミの体が反転する。
天と地が逆(さか)さになって、気血が逆流して、
「かっはぁあああああっ!!」
枯れるほど吐血した――
肉体が、魂ごと引き裂かれた。
――そう『ジャミの全て』が理解した。
なのに、
――――――――
――――――
――――
「――――――――――……っっ??!!」
気付けば、ジャミは、無傷で舞台の上に転がっていた。
そして、同時に響く、
――タイムアップを知らせる重厚な笛の音。
(こんな、ほんの数分闘っただけで……ここまで強くなれるなど……あるわけがない! あっていいわけがない!)
ダイエットを例にしよう。
100キロの巨漢が、『丸一日食べるをやめて、朝から晩まで、膝が潰れるほど歩き続く』という無茶をしたとしよう。
そうすれば、まあ、たった一日でも『最大10キロくらい』は痩せられる可能性がある。
だが、既にキレッキレに仕上げているボクサーが、いくら努力をしたところで、一日で痩せられる量は『10グラム~20グラム』が精々。
ジャミの『現状における成長率』は、後者にあてはめる事ができる。
これまでに、散々頑張ってきて、『これ以上を目指すなら、気が遠くなる時間と努力が必要』という領域に辿り着いた。
最近は、『セン印の訓練施設』でトレーニングをするようになったため、存在値は、ガンガン上がるようになったし、戦闘力も、それまでとは比較にならない速度で上がるようになった。
しかし、それでも、これほどまでの成長速度ではなかった。
このペースで強くなっていくのは、さすがに異常がすぎる。
おかしい。
ありえない。
(ありえない。こんな事が出来る者などいるはずがない。もし、こんなことが出来る者がいるとしたら、その可能性があるのは……)
遥か高次の薫陶(くんとう)。
『これほどの、とてつもない奇跡』を起こしたとしても不思議ではない存在。
「……『教義』や『既存の理念』ってのは非常に重要だ。それが『ブチ壊すための的』だと理解できていればの話だが」
ジャミの中で、一柱だけ心当たりはある。
しかし、
(それこそ、ありえない! 神が、このような――)
――ズンッッ!
と、モンジンの拳が、ジャミの腹部を捕らえた。
相変わらず『痛み』はない。
だが、響いた。
重く、深く。
モンジンが、ジャミの目をジっと見て、言う。
「お前のコアオーラは、革命を望んでいる」
その声は、ジャミの全てを包み込む。
まるで光。
数多の世界を照らす、とてもとても大きな――
「特別に、受け止めてやるよ」
そう言って、モンジンは、ゆったりと大きく構える。
全てをさらっていくような泰然。
ジャミとバロールは息をのんだ。
目の前に立つ男が、
あまりにも大きすぎて。
「さあ、くるがいい」
そのあまりの威圧感にあてられて、バロールは、ガクンと、崩れるように膝をついた。
心が痙攣している。
そんなバロールと違い、ジャミは倒れない。
倒れる訳にはいかないと心が叫んでいた。
ジャミは沸騰する。
身の奥から込みあがってくる。
オーラも魔力も、容易く、一点に集中していく。
無の境地。
まだまだ遠いと思っていた世界が見えた気がした。
ジャミの中で、トビラが開く音が確かに聞こえた!
「ぉぉ、ぉおおお、ぉおおおおおおおおおっっ!!」
膨れ上がる沸騰に身を任せ、ジャミは踏み込む。
言葉にならない想い、その叫びを拳に乗せた。
拳に翼が生えた気がした。
パリンと割れる音がした。
限界という名の壁を、ダイナミックにブチ破る音――
「――嫉妬に値する才覚だ」
ジャミの耳を、光の声が、ふるわせる。
そして、だから、加速する肢体。
踏みしめる。
ジャミは辿り着いた。
――ここは、神の領域。
「ようこそ、俺たちの世界へ。歓迎しよう」
その声が、ジャミの耳に届くよりもはやく、
モンジンは虚空に円を描いた。
導かれるように、ジャミの体が反転する。
天と地が逆(さか)さになって、気血が逆流して、
「かっはぁあああああっ!!」
枯れるほど吐血した――
肉体が、魂ごと引き裂かれた。
――そう『ジャミの全て』が理解した。
なのに、
――――――――
――――――
――――
「――――――――――……っっ??!!」
気付けば、ジャミは、無傷で舞台の上に転がっていた。
そして、同時に響く、
――タイムアップを知らせる重厚な笛の音。
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