センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
51話 第三勢力の思惑。
51話 第三勢力の思惑。
(バロール。手加減が下手な君は、まっすぐに暴れた方がいい。少年の方は、私で処理しておくから、君には、彼女達の対処を任せる)
(……私は別に、手加減が下手なワケじゃないんだが……うーん、納得いかねぇなぁ……まあ、別に、あの不愉快なガキの相手なんかしたくないから、対処をお前に任せるのは別にいいんだが)
ブツブツ言いながらも、普通に了承したバロールは、残っている第三勢力の女たちに向かって特攻を決める。
超豪速で距離をつめようとするが、彼女たちは、あいもかわらず、ヒラリヒラリと、まるで闘牛士のように、バロールの攻撃をいなす事だけにつとめている。
なんとか、削りをいれようと、『武舞台上では逃げ場のない範囲攻撃』をしかけてみても、硬い防御に専念されるだけ。
やはり、打ち合って来てくれないと、大きい一撃は入れられない。
(ちっ……本当に、てめぇらは何がしたいんだ……そっちは、すでに一人降りてんだぞ。あとは後ろのガキを飛ばして俺が下りれば予選は終わる……なのに……もしかして、ここでは闘わず、本戦でケリをつけようとしているのか?)
本戦はガチンコの殴り合い。
闘いを拒絶して逃げ続ければ、テクニカルノックアウトをくらって負けてしまうだけのバチバチのタイマン。
(あいつらの目的は、もしかして、俺を降ろすことか? 本戦でジャミをはかるために、俺を落とそうとしている?)
三番打者を敬遠して、わざわざスラッガーとの勝負を選ぶ――そんなイメージが、バロールの中で浮かぶ。
(ジャミの予測通り、一人降りる事によって発現する防御系のアリア・ギアスだとしたら、そうまでして、俺を落としたかったってことになる……『厄介だ』と敬遠されているならまだしも、『ジャミの測定の邪魔だから』とナメられているのだとしたら笑えねぇ……)
軽く落ち込みそうになったが、状況が状況なので、引っ張られはしなかった。
すぐに思考を切り変えて、
(はっ、まあ、それはそうと、しかし、わざわざ5対2で闘えるチャンスを蹴って、ガチンコタイマンを選ぶとは……バカどもが。ゼノリカをナメたこと、全力で後悔させてやる。――ジャミがなっ!)
などと、心の中でつぶやいた直後、
バロールは、
(……?)
ようやく、異変に気付く。
ジャミにガキの対処を任せてから既に15秒ほど経過しているが、
いつまでたってもジャミがこっちに参戦してこない。
(おい、いつまでかかってんだ……ジャミのボケが、いったい、何をモタついて――)
そこで、視線を後ろに向けると、
「……は?」
ジャミが地に伏していた。
そして、倒れているジャミを、あの不愉快なガキが見下ろしている。
「はぁ? どういう……いったい、なにが……」
★
――15秒前。
突如振り返って攻撃をしかけてきたジャミに対し、モンジンは、慌てて、
「お、おい、なにしている! 敵はあっちだ! 俺は味方だ!」
「君が味方だった事は一度もない」
言いながら、ジャミは、絶妙に力加減を調節した拳をモンジンの腹にブチこもうとした。
――が、
「さびしいこと言うねぇ。傷ついちゃう可能性がなきにしもあらずな今日このごろだぜ」
暴風をものともしない柳のように、モンジンは、ジャミの拳を、
「っっ?!」
極端なスウェーで回避する。
リンボーダンスのクライマックス中のような体勢になっているモンジンは、その状態のまま、右ひざを上につきあげた。
「ぐぶっ」
ジャミの腹部に直撃。
痛みはなかったが、驚いて声を上げてしまったジャミ。
「おいおい、なに驚いた声だしてんだよ。何度も言ったはずだぜ? 俺は強すぎるって」
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