センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
23話 神だよ、モナルッポ。
23話 神だよ、モナルッポ。
『絶対的な神』を崇める事で、揺るぎない団結をはかろうとしている組織。
動機の言語化も、目的の明確化も、結論の正当化も、神を枕に置けば驚くほど容易い。
『最も顕著な行動阻害因子』である幸福と絶望だって、神を『言い訳』にすることで、幾分かコントロール可能。
神は便利だ。
組織が大きくなればなるほど、非常に便利な『接着剤』兼『潤滑油』になってくれる。
(この世で最も尊き御方……実に、『宗教家らしい呼び方』だ。どんな神を崇拝しているかしらないが……この現状から鑑みるに、おそらく、邪神……)
モナルッポが、そんな風に推測していると、
UV9は、続けて、
「質問はまだあるだろうから、一つ一つ答えていくよ。まず、一番気になっているであろう、この死体の山についてだけど、じつは、高ランクの魔カードを創る為に必須なんだ。魔カードだけじゃなく、マジックアイテム全般だね。極限まで高まった絶望を抽出して、マジックアイテムのスペックを向上させる悪魔の技法。それが、レイモンドの秘密だ。こりゃ、表には出せないね」
(悪魔の……技法……やはり、邪神の教徒……そんなイカれた組織が、高ランクの魔カード製造技術などを持つとは……最悪……)
「レイモンドを支配しているのは、ゼノリカという組織だ。レイモンドを支配しているというか、『表だった魔カード系の会社』をイチからつくるのも面倒だったから、すでにあったテキトーな会社を奪って、そのまま利用しているだけ……なんだけどね」
(ぜの……りか……)
「われら、超魔王軍ゼノリカは、簡単に言うと、この世の全ての闇を支配している秘密結社。もっと踏み込んで、ド直球にいうと、別世界からきた侵略者だね」
(別世界……古い文献には、『異なる世界』についての言及なんかもあったが、まさか事実だったとは……そこからの侵略者……超魔王軍……なるほど……いろいろと納得だ、ド畜生……)
異世界の存在をほのめかしている書物は、実のところ、それなりの数にのぼる。
だが、ほとんどの者は信じていない。
「われわれ超魔王軍ゼノリカは、この世界に存在する全てをすりつぶして、魂魄牧場にしようと思っている。そのための第一手が、ランク5の魔カードを量産して、世界にゼノリカの闇を浸透させること。きみたちは、いずれ、ゼノリカなしでは生きられなくなる。ゼノリカに依存し、ゼノリカに心酔し、ゼノリカを神として受け入れ、そして、いつしか、この世界はゼノリカのための牧場になる。私たち超魔王軍ゼノリカの最大目的を簡単に一言でいうと、私たちは、君達を生贄にして、さらなる高次生命に成ろうと考えている」
「……高次……生命?」
「神だよ、モナルッポ・スピアーズ・ミルトリス」
(……っ……や、やはり、ド直球の宗教組織……最も上に神を置いておいて、最終的には、その地位に自分を代入するマッチポンプをかますつもり……その生贄が俺達人類……ふ、ふざけやがって……)
「さて、もうだいたいは喋ったワケだけれど、ここまでで何か質問はあるかな?」
「……なぜ、聞いてもいないことを、そんなにベラベラ――」
「喋ったかって? 君の絶望を抽出するためだよ」
言いながら、UV9は、死体の山から降りて、
「空洞な嘘は希望を残す。だけれど、重量のある真実は、君の中で黒く沈んでいくだけ。ちなみに、ゼノリカは、これまでに、七つの世界で魂魄牧場をつくり、大量の魂を回収してきた。その結果、ゼノリカは、けた違いの力を得た」
(……多くの命を犠牲にして得た力……大きいワケだ……クソ外道め……)
「下地は整った。あとは決定打だけ。最後の一手は、この世界で決める。われわれは、高次生命になる。――望んでいた世界。神の領域に至る」
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