センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
15話 われわれは、われわれ以外の悪を許さない。
15話 われわれは、われわれ以外の悪を許さない。
ホアノスは、これまでの人生で、何度となく憎悪を向けられてきた。
皮をはがされている際の女の悲鳴は、必須のスパイスなので、口をふさぐ事はなかった。
弱い女は、ひたすらに許しを請うだけだったが、芯の強い女は、よく『絶対に許さない。必ず殺す。死んだあとで、呪い殺す』と喚いていた。
抵抗できない女から、殺意を向けられることにも、異常なほど高揚した。
ホアノスのSっぷりは尋常じゃない。
『苦しめている相手が自分に向ける憎悪の目』を見ると、下半身が限界をこえて充血する。
他者の苦痛だけが、本当の快楽をくれる。
『だから』というわけではないのだけれど、
「なんだかよくわからないが……どうやら、お前は、私に刃向うつもりらしいな。バカめ」
このワケの分からない状況下で、ホアノスは、ニっと微笑んだ。
トーンの法だと、正当防衛はシッカリと許されている。
自分を殺そうとしてきた相手には何をしても許される。
つまり、現状、ホアノスは、ミシャに対して何をしても許される。
これまでのように、こそこそと、別宅の地下につれこまなくとも、この場で、全ての欲を解放する事もできる。
そう考えると、下半身が充血する。
幼女趣味であるホアノスにとって、ミシャの体躯はとびっきりの御馳走。
今日はよき日だ。
「ザザ、あのガキを拘束しろ。右半身はくれてやる。しかし、左はちゃんと無傷で残せよ」
「かしこまりました」
返事をすると、ホアノスの忍『ザザ』は、ほとんど一瞬で、ミシャの背後に廻り込む。
そして、毒針をつかい、体の自由を奪う麻痺毒をミシャの首から注入しようとしたが、
「ザザ・キアレ。存在値52……この世界では、かなり上位に入る強者」
ヒラリと、特に『際立った技術』を使う事もなく、サラっと身体能力だけで避けるミシャ。
「つまりは、上に立たなければならない者、しかして、相応の責任を有する者。……でありながら、醜い欲に溺れ、理不尽な絶望を産むだけの汚物になりはてた。その罪は重い」
たんたんと、ミシャは言う。
「貴様らの性癖をとやかく言うつもりはない。幼女趣味だろうと、加虐趣味だろうと、なんであれ、心の中で飼うだけならば自由。しかし、ソレを表に出してしまえば、ただの悪として処理される」
ここで、ミシャは、ジャミに連絡をいれる。
ミシャは、ミッションを遂行する。
一瞬だけ、音声も外部に伝わるようにしてから、
「われわれは、われわれ以外の悪を許さない」
言い切ってから、また、音声をカットする。
怒りの底に沈んでいる今でも、ミシャは仕事を忘れない。
ゼノリカを背負っている者としての『立場』を忘れる事はありえない。
ホアノスを『巨悪演出の道具』として利用したのち、
ミシャは、静かに、優雅に、ゆるやかに、
小さな弧を、虚空に描きながら武を構える。
「それでは、これより、正式に政務を執行する」
そのスキのない構えを見て、ザザのこめかみに冷や汗が流れた。
全身が警戒していると理解できた。
(このガキ……強いな……)
ザザの『練度の低いサードアイ』ではミシャを見通せない。
そして、ザザは、対するだけでミシャの高みを感じる事ができるほど強くはない。
だから、
(腕の一本くらいは覚悟しないといけないか……)
などとマト外れな事を心の中でつぶやきながら、『損傷』を前提とした戦闘スタイルに切り替える。
『無傷で勝とう』と思わなければ、取れる手段は一気に増える。
有効かどうかはともかく、手段が増えるという点だけは事実。
――ザザは一手に詰め込んだ。
損傷を覚悟で、一ターンの間に切札を詰め込む事で、ミシャから有利を奪おうとした。
だが、
「――うぼぉぉぉっっ!!!」
踏み込みに合わされ、豪快なカウンターをくらった。
数メートルほど吹っ飛ぶザザ。
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