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5話 フーマーに逆らう企業。



 5話 フーマーに逆らう企業。




 魔カード産業が完全に公有化されている訳ではないので、計画経済というワケではないが、『世界の金』の動きは、フーマーによって、ほぼ完全に支配されていると言っても過言ではない。
 ※ ぶっちゃけ、インフラ関係はフーマーが一手に担っている。魔カードに限らず、どの事業であれ、フーマーに面と向かって刃向うのは、あまりにも愚策。幼稚園児が親に逆らうようなものである。




「当然、新しい技術を開発すれば、親会社であるフーマーに詳細を提出する必要があるワケですが……この、ランク5魔カード量産技術を開発した『レイモンド』という企業は、その革新的技術の提供を拒んでいるようです」




 優れた技術は、独占されることなく、広く公表されるのが基本。
 そうでなければ、『世界発展』の速度が遅くなるだけだから。
 『特定の個』が金持ちになるだけだと、『社会』はさほど豊かにならない。


 フーマーは、怠慢も停滞も許さない。
 ゆえに、無意味な独占を許さない。
 ※ もちろん、特殊な技術を生み出した会社は、フーマーから、特許のようなものを与えられ、以降、かなりの特権が与えられる。




 フーマーは当然、情報開示を求めたが、驚くべきことに、レイモンドは断固として拒否。
 現在、レイモンドは、当然のように、フーマーからの強い圧力を受けている。




「ふぅん。……なんで、その会社はフーマーにさからうんだ? フーマーに逆らったっていいことないだろ。そんなこと、俺でもわかるぜ」


「……なぜでしょうね。私にもわかりません。フーマーに逆らっても悲惨な末路が待っているだけなのは明白。それが理解できないほど愚かなのか……あるいは……」


「ん? あるいは? なに?」


「それだけの技術があり、魔王国(大量の魔人と広大な資源を有する、可能性の塊)というバックもあれば、フーマーを相手にしてもどうにかなる……と判断したのかもしれません」


「……ふぅん」




 フーマーから支配されるのは、この世界に生きる弱者にとって、悪い事ではない。


 どの時代、どの国でも、フーマーから『特別指定』された、『特指地域』や『特指企業』というものが存在し、それらは、戦争の際に奪われたり破壊されたりすることもなく、国からの過剰干渉も受け付けない(ルールに沿った税金は払わなければいけないが、『お前の会社は儲けているから、これからは、もっとたくさん払え。あと、技術を国のために無償で提供しろ。あと軍事参加も義務な』などという命令は無視してもいいという意味。仮にそんな命令を受けた場合、即座にフーマーにチクっていい。というか、チクらなければいけない)。


 フーマーの庇護化に在ると言う事は、絶対的な安全が約束されたということ。
 それは当然、大変喜ばしいこと。


 ちなみに、『かつて特指企業から利益を奪おうとした国が、フーマーから派遣された師団によってメッタメタに潰された』という記録が全ての国に、正式な文章として残っている。
 正式な文章で残っているとはいえ、あまりに昔の事なので、今を生きる者たちの中で、それが事実かどうか断定できる者はいない。
 ただ、事実かどうか確かめようとするバカなどいないので、たいした問題はない。






「レイモンドがフーマーに逆らっている理由ですが、可能性だけなら、他にも、いくつかありますよ。たとえば――」




 バカなモナルッポに、とうとうと、自分の知っている知識をひけらかして御満悦のカリネ。
 カリネは、ほとんど売られたような身でありながら、己の現状をそう悲観していない。
 王子はバカだが、ブサイクではないし(むしろ、かなりイケメンの部類)、性根が悪い人間でもないので、普通に大事にしてくれるし、バカゆえに、カリネの自尊心を満たしてくれる。
 まさに、WIN‐WINの関係。





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