センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
29話 大好きなおじいちゃん。
29話 大好きなおじいちゃん。
センは、間違いなくアダムに惚れている。
ソレは疑いようのない事実だが、しかし、アダムのことを『狂信者感が強すぎてダルい』と思っているのもゴリゴリの本音。
そもそもにして、『相手の全てが完璧にズレ一つなく大好きで、死ぬまで永遠に、どこまでも、いつまでも、とにかく、ずぅぅぅっと一緒にいたい』――なんてことは、尖った個人主義者のセンでなくともありえない事。
すべてはバランス。
そういう意味で、現状(常にアダムとシューリが側にいる)が限界。
――ちなみに、シューリの場合は、その突飛な性格のせいで、結果的に、はからずとも、常時、『センにとっての、いい感じの距離感でいてくれる』から、側にいられても、実は、そこまで苦じゃない(シューリにもバリバリ惚れているため、かりにシューリがグイグイきたとしても我慢はできる)。
「百歩ゆずって、入れ替わりなら認めなくもない――けど、それは、あいつらが了承した場合。だから、俺じゃなくて、あの二人に頼みなさい」
「それは絶対に無理だから、ジーサマに直訴してんじゃないすかぁ」
「あのアダムって人、おじいちゃまを見る目が、致命的にイっちゃってるもんねっ☆」
もし、誰かが、アダムに、『そのポジション、ゆずれ』と言ったらどうなるか。
結果は火を見るより明らか。
世界を殺す戦争のはじまりである。
――つまり、何が言いたいかといえば、
センは、百歩どころか、一歩もゆずっていないのである。
麗理のことも、界理のことも、心の底から愛しているが、
それとこれとは別問題なのだ。
「終理も大概ラリっているけど、あのアダムってやつは、それ以上にヤベぇ。ジーサマ、あんなの側に置いちゃダメすよ」
「そーそーっ。側におくなら、『アダムみたいな狂気的ジャンキー』や『終理みたいなドがいっぱいつく変態』じゃなくて、私みたいに、可愛くて無害な女の子の方が絶対にいいですっ☆」
「無害ねぇ……昔、『俺の奪い合いだ』とか言って大ゲンカして、第一ベータを崩壊させかけたのは、ドコのどいつらだ~い? お前らだよっ!」
彼女達にとって、センは、大好きでたまらないおじいちゃん。
おしめを替えてくれたこともあって、ごはんをつくってくれたこともあって、病気になったときは看病してくれたこともある。
ピンチになった時、颯爽と現れて助けてもらった事だって何度もある。
『彼女達が産まれた時には、既に支配者としての激務に忙殺されていた朝日』よりも、センの方が、彼女達と一緒にいた時間は長かったりもする。
※ ゼノリカ(しっかりとした統治機構)がある上位アルファなら、優秀な下に任せる事が出来るため、天帝の仕事も、それなりに楽だが、ベータ程度の世界では、上がしっかりしていないとしっちゃかめっちゃかになる。
例えるなら、
ゾメガたちは、超進学校の校長で、
朝日は、モンスターペアレンツが多い幼稚園の保育士さん。
『ベータをアルファに格上げするための仕事』がなくとも、大変で大変で仕方が無いのが、第一ベータというブラック企業。
Q センは助けてくれなかったの?
A 朝日は『センがいずれ転生してしまう』という事を、キチンと『重く』とらえていたため、なるべくセンには頼らないようにしていた。センに頼ればどんな問題でも簡単に解決してしまい、『このままだと、センがいなくなったら何もできないハリボテになってしまう』と危機感を感じたため。
そんな理由もあって、世界運営の協力を拒まれたセンは、朝日の家族のサポートに重点をおいていた。
結果、朝日の娘たちは、実の父である朝日よりも、センと一緒にいる時間の方が長くなってしまったのだ。
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