センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
23話 進化する天万手。
23話 進化する天万手。
――平も、ミシャも、
『自分の居場所』を再確認した。
究極超神センエースの弟子。
偉大な神の系譜に連なる者。
『自分は、【ここ】にいる』と、大きく胸を張って断言できる幸福。
『生きている意味』や『自分が、今、ここに存在している理由』が、目の前に立っている――これほどの幸運が他にあるだろうか。
(((ああ、師よ……この上なく尊き神の王よ……)))
全ての迷いが霧散して、己という個が、より美しく強靭になる。
師と比べれば、自分達など矮小な存在だが、しかし、『真なる師の遠さ』が理解できるくらいには美しくなれた。
師に導かれたことで、師を知ることが出来た。
『返し切れぬ恩』ばかりが積み重なっていく。
『もらってばかりだ』という不安や申し訳なさはもちろんあるのだが、それを置き去りにして、歓喜だけが際限なく膨れ上がっていく。
愉悦や快楽などという『易い言葉』では到底表現しきれない『高次の喜び』で満たされる。
全身を貫かれ、『意識の全て』が痺れていく。
と、そこで、三至は気付く。
師の視線が、いまだ平の右腕に装備されたままの天万手に注がれていること。
ミシャが青くなって、
「ばっ!」
バカと正確に発声する事すら出来ないほど慌てて、平の左肩に強めのグーパンをいれた。
師の前で、『こんな目ざわりなゴミ』を装備しているなど――あまりにも無礼。
慌てて天万手を消滅させようとする平。
その様子を見て、センは指をパチンとならす。
すると、平の右腕から天万手が消えた――と同時に、センが己の右腕に装着していた。
「クオリティ150程度のゴミ神器の割には、なかなか小マシな性能だな……バーチャはクソ野郎だったが、全体的にスペックは高かった。戦闘力も、アイテムの創造力も」
センはそう言いながら、天万手に、自分の左手をそえて、
「ちょうどいいから、こいつで実験しよう……これなら、最悪、バグっても構わねぇ」
ボソっとそう言った直後、天万手がポォっと柔らかく光る。
「バーチャ程度のザコ神にてこずったという俺の黒歴史は、むしろ、俺から、逃げ道を奪う。最悪バグっても構わないという前提が、逆に、俺に緊張と集中を与える。つくづく思うぜ。俺ってめんどくせぇ……」
柔らかな光に包まれていた天万手は、
「完成だ。さあ、起きろ、天万手」
一度、ブルルっと震えてから、
神の呼びかけに答える。
『……ああ、なんという僥倖。全ての偶然が重なって、私は主に選ばれた』
ハッキリと知性を感じさせる低い声が響く。
『主よ、感謝します。私は、あなた様のしもべ。なんなりと御命令を』
その光景を目の当たりにした平が、驚愕をあらわにして、
「ま、まさか、神器に知性を?!」
「最近、おもしろいオモチャを見つけてな。解析した結果、再現できそうだったんで、試してみた……しかし、あのバカほどの完全な知性には出来なかったな。今の俺では、まだ優秀なAI程度しか付与できない。それでも、充分なレベルでクロックアップするが……しかし、まあ、必須ではないな。この程度じゃ、スキル循環が多少マクロ化して楽になるくらい。知性を与えてしまうと、心情的に、簡単には消せなくなるし」
『主が望まれるのであれば、自我の崩壊であろうと喜んで受け入れます』
「そうか。じゃあ、お前の自我を崩壊させなきゃいけないほど切羽詰まった時には、そうさせてもらおう」
センは、そう言ってから、パチンと指をならした。
すると、元通り、平の右腕に装備される。
「神工インテリジェンス化だけじゃなく、基礎スペックの方も爆発的に向上させて、究極超神器の領域にまで昇華させた。アダムに勝った褒美として、こいつを、お前にくれてやる。これから、天万手は、第二宝物殿のこやしではなく、正式に、平熱マン聖剣至天帝の装備品だ」
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