センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
20話 神の教え。
20話 神の教え。
アダムの自分に対する疑念は、際限なく膨らみ続け、終わりなく自己嫌悪を爆発させる。
――と、そんな底の底に沈んでいた、その時、
……世界の空気が変わった。
「「「「っっっ!!」」」」
アダムと三至の全身に、『鋭い緊張』が駆け巡る。
空間の歪みが消えていく。
次元が整地されていく。
――気付けば、アダムたちの目の前に、『最果ての神』が降臨していた。
真に究極を超越した最強の神は、冷たい目で、アダムを見下ろして、一言。
「……ダセぇ女だなぁ、負けんなよ」
「しゅ、主上様……っ!」
突如あらわれたセンを目の当たりにして、アダムは、即座に姿勢をただして、平伏する。
その向こうでは、三至も、慌てて片膝をつき、こうべをたれていた。
この上なき神が降臨した事により、全員の心中では、狂猛な暴風が吹き荒れていたが、それを主の御前で『表』に出すワケにはいかない。
――結果、静寂。
ピリっとヒリつく空気。
凍てつくよりも重く、魂魄が過敏になる。
唐突に顕現した神に対して、一定量、慌てふためき終わったところで、
アダムの脳は、『神から言われた言葉』の解析処理を始めた。
コンマを切る速度で、脳から全身に警告が走る。
「ぶ、無様をさらしてしまい、もうしわけ――あ、いや……あの……」
再度、あたふたするアダムに、センは、
「ゾメガと平とミシャは確かに強いが、お前よりは弱い。縛っていた状態だろうとなんだろうと、お前なら楽に勝てる相手だ」
「は、はい……」
言い訳を許さない怒涛の追撃。
神は続けて、
「負けて得られるものなんてない。まあ、実際のところ、なくはないが、しかし、勝って得られるものと比べれば微々たるもの。というか、負けて得られるモノなんざ、勝ってもえられるものが大半なんだ。つまり、相対的には『負けて得られるものはない』ってこと」
「……はい……」
「勝ち続けなきゃダメなんだ。敗北はマイナスでしかない。『足りない何かは、負けてこそ気付く』なんてほざくバカがたまにいるが。それは完全に間違いだ。足りない何かなんざ、本気でやっているなら、勝っても見つかる。というか、勝たなければ見つけられない『足りない何か』の方が、実際のところはずっと多くて、かつ重要な場合が多い」
「……」
「負ければ『その悔しさから、より頑張れるようになる』なんていう輩もいるが、それも完全に間違いだ。本気で勝ちを目指しているやつは、最初から限界まで頑張っている。『これ以上はありえない』ってくらい頑張っているバカども――そういう余白がない連中の中から勝者は決まる。負けを肯定する言葉は、全て、クソ以下の言い訳だ」
「……」
「そもそも負けるってのは『死ぬ』ってこと。負けイコール死ってのは、かなりの極論だが、事実でもある。『あー、負けちゃった、次、がんばろー』なんて、『本当の局面』では通用しない。勝ち続けなければ……何も守れない」
「……」
「いいか、アダム」
そこで、主は、『吹雪』で出来た『剣の嵐』のような瞳でアダムをメッタ刺しにして、
「もう二度と、くだらない負けで、その身を穢すんじゃねぇ。常に勝ち続けろ。永遠に勝ち続けろ」
そして、最後に、
「俺の隣に並ぶってのは、そういう事だ」
そうつけたした。
主の教えを受けて、
アダムは、
「――おおせのままに」
厳かに、まっすぐに、そう返事をした。
それは、主の意図が、明瞭に理解できたから。
今、自分が『主から何を言われているのか』が、キチンと理解できたから。
偉大なる神の王は、今、アダムが真に求めているものを与えてくれたのだ。
『この上なく尊い神』は、アダムに『センエースと同じレベル』を求めた。
――『俺の隣に並んで歩け』と命じてくれた。
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