センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
52話 偉大な神が、歩んできた道。
52話 偉大な神が、歩んできた道。
(――暴風の中にいるみたいだ――)
直線的すぎる脅威が、空間の中で、無数かつ多角的に積み重なって、
ゼンの感覚そのものを殺していく。
一瞬たりとも気を抜けない苛烈な苦境。
超えられない領域。
高すぎる壁。
『洗練された絶望』が、ゼンの中で容赦なく暴れている。
ゼンの『全て』がバラバラになって飛び散っていく。
己の中を這いまわる『ヘドロの粘度』が増していく。
己を縛り付けている『ドス黒い重り』の質量が増す。
『弱さの鎖』に絡め取られて、身動きが出来なくなって、
――そんな、『底の底の底』に堕とされたことで、
しかし、だからこそ、
「あああああああああああああああああ!!」
ゼンの頭は沸騰した。
追い込まれ、心が行き場を見失って、
前を見る事しか許されなくなって、
絶望とお見合いした事で、
――グワっと全てが熱くなった――
驚くほど速くなる、心臓の鼓動。
このクソ以下の鬱状況に叩き落とされたことで、集中力の核が、上限を見失った、
――だから、という訳ではないのだけれど、
カっとした体が、理性の制止をシカトして、
自分で想像するよりも、かなり鋭く動いた。
魂を担保にした底意地が、『下がる』のをムリヤリやめさせて、
むしろ、より前へと、強く強く体躯を踏み込ませる。
近すぎるインファイト。
脳の中が、ビカビカっと妙な色で光って、
数秒先までの最善手が見えた気がした。
この瞬間だけは、ゼンの心に『弱さという贅肉』はなかった。
全ての肉を断ちきらせて、骨だけになった極端すぎる身軽さが、フッキの核に届いた。
(――とがめる手がない)
無様に受けた、その一撃。
ダメージはさほどないが、心を削られた気がした。
彼我の差を考えれば、これは、ありえない結果。
格下からの、ぶっこみ。
それは、愚かさの証明。
しかし、屈辱は感じなかった。
湧き上がったのは、純粋で無垢な驚嘆と称賛。
瞬時に、
(わりと……『太い』じゃねぇか)
そんな思考が頭を埋め尽くす。
『極限まで贅肉を削った一撃』を受けた事で、
『太さ』を感じるという、奇妙な認識パズル。
(具体的に『なにがどう』とは表現できないが、『これ』を『折る』のは大変だと、オレの全身が痛感している)
フッキは認識を改めた。
目の前にいるガキは、半端なノイズ。
だが、片手で折れる細い棒ではない。
(なるほど。可能性はある。塵芥ほどの、小さな、小さな可能性だが、このガキが、オレを拓いた『偉大なる主』になれる可能性は、確かにゼロじゃない)
しかし、その道は無限のイバラ。
(……このガキは、決して『ズバ抜けた資質』を有する『天才』ではない。剣の腕も、さっきは『そこそこ』と評しはしたが、実際のところ、まだまだお粗末なもの)
体の使い方もオーラのコントロールもドヘタ。
魔法に関しては、正直、才能がないとしか思えない。
頭の方も、決して悪くはないが、良くもない。
(総合評価は、ど真ん中の凡人。偏差値50。どこにでもいる普通のガキ)
現時点では、チートがなければ、ただのゴミ。
(そんなゴミが、あれほどの……)
――そこで、フッキは、『この上なく偉大な主』の雄姿を思い出す。
研ぎ澄まされた神。
完全なる命の王。
舞い散る閃光。
(これから……神になるガキ……)
ほんのわずかに、けれど確かに、
ゼンとセンエースが、認識の中でダブった。
届きうるかもしれないという『プラスの疑念』が、
だからこそ、より、強く、『究極超神センエース』という主の後光を強めた。
(……『この程度でしかないガキ』が『あれほどの神』になるまでの距離――その歩み――)
『積み重ねたのだ』と、実感した。
神から見せられた『軌跡』が、
目の前にいる『ゼン』を通して、よりリアルになっていく。
「ファンタジー」の人気作品
-
暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが-
4.9万
-
転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~-
7万
-
クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!-
4.8万
-
異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~-
2.3万
-
妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~-
1.6万
-
劣等眼の転生魔術師 ~ 虐げられた元勇者は未来の世界を余裕で生き抜く ~-
1.1万
-
勇者になれなかった俺は異世界で-
2.4万
-
引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―-
2.3万
-
転生貴族のハーレムチート生活【120万pv突破】-
5.5万
書籍化作品
-
二度追放された冒険者、激レアスキル駆使して美少女軍団を育成中!-
-
847
-
-
Pessimist in love ~ありふれた恋でいいから~-
444
-
【書籍化・コミカライズ化作品】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~-
76
-
オフラインで打ち合わせ 〜真面目な神絵師との適切な距離感〜-
58
-
冬フェンリルの愛子となった私が、絶望から癒されていく話-
337
-
パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る-
112
-
【コミカライズ】恋に恋する侯爵令嬢のこじらせ恋愛-
52
-
婚約破棄してやろうじゃないの………-
21
-
【書籍化】婚約者に「あなたは将来浮気をしてわたしを捨てるから別れてください」と言ってみた-
-
0
-

コメント
コメントを書く